感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
32
最初自分に合わないのでは・・・と危惧するほど奇妙な世界に迷い込んだ感があったけれど、それこそがこの作家の個性。心の動きやヘンテコな振る舞いを見せる登場人物、決して読みやすい作風ではないけれど、表現なさりたいものは(おそらく)伝わってきた。きょうだい間の物語が多いのは実体験に基づいているからだろうか。もっとほかの作品も読んでみたいと思わせられた。2014/11/28
おにく
31
その時代にそぐわない技術で作られた古代遺物を“オーパーツ”と呼びますけど、尾崎翠さんの作品は、昭和初期としては先進的な感性で描かれたまさにオーパーツ。恐らく海外作品に影響を受け(ゲーテやチェーホフ、チャップリンや歌劇“椿姫”などのタイトルが見受けられる。)登場人物の性格やリアクションは日本人離れして、とても軽快。中でも新たな文学手法を駆使した“第七官界彷徨”とそれ以降の作品は、海外文学に引けを取らないクオリティで、これからという時に文学の道を閉ざされたのは残念ですが、これらの作品は燦然と輝き続けています。2024/05/21
あんこ
31
一編一編、読み終わるのが惜しかった。尾崎翠の描く少女や青年は、どこか捻くれていて厭世的なのだけど、恋愛(までいかない片恋)に関してはより一層純粋で可愛らしい。少し前に読んだ「第七官界彷徨」と他の幾つかの短編の繋がりも見えて、以前より物語世界を堪能できた。屋根裏、地下にいながら悶々と片恋をする人物たちの哀愁。少女たちは片恋をしているが故に少女であることの「永遠性」をもっているように感じた。「無風帯にて」、儚くて美しさが際立っていたし、「アップルパイの午後」は思わず『かわいい!』と叫びたくなった。2014/11/26
たかしゃや
11
冬になると必ず読み返したくなる。尾崎翠。今回はこれに収められている「第7官界彷徨」を久しぶりに読んだ。何回目の読み返しか、ちょっとわからないが、いつ読んでも、彼女の文章には引き込まれてしまう。2015/01/19
zumi
9
「第七官界彷徨」のみ。これ難しいっす... 少女は、五官も六官も越えた、「第七官界」に響くような詩を書こうとする。だが「第七官界」の定義は極めて曖昧である。それが何なのかよく分からないので、およそ詩作は捗らない。「第七官界」と名付けられたそれについて、唯一何か言えるとすれば、それが「言葉」によって表されているということだけではないだろうか。この小説はまさに「言葉」そのものの間で彷徨うものだ。絶えずイメージを変えながら表される言葉は、意味ではなく別のものを指すだけ、それこそ「小説」であり「第七官界」なのだ。2014/04/16
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