出版社内容情報
「バビロニアの創世記」から「ギルガメシュ叙事詩」まで、古代メソポタミアの代表的神話をやさしく紹介。第一人者による最良の入門書。解説 沖田瑞穂
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
43
【始原へ39】メソポタミアの5冊目。メソポタミア文明が文字(楔形文字)として残した、ギルガメッシュ叙事詩を含む短編作品を忠実に抄訳(欠落部分は補筆)した作品集。天地創造や神々の物語なので"神話"ということになるが、ギリシャ神話同様に人間臭い物語集だ。普通に面白いのが、すごいところ。なぜならこれら作品群は、現在までに発見された文字として残された最古の作品となるからだ。ホメロスが口頭伝承期間を含めてもせいぜい遡っても紀元前1000年なのに比較して、こちらは紀元前3500年なのだ。と思ったものの、よくよく↓2021/08/13
evifrei
22
粘土盤に刻まれたメソポタミア地域の断片的な神話を物語の形で紹介する。文体も読みやすい。一番の読み所はやはりアッカド版のギルガメシュ叙事詩だろうか。親友となった山男エンキドゥの死を嘆き悲しみ、それにより死の恐怖を覚え『永遠』への憧れを強めるギルガメシュの姿は文学的な美しさがある。また、竜神討伐の神話は日本のヤマタノオロチ伝説と酷似しており驚いたのだが、メソポタミアの神話がキリスト教の聖ジョージの物語となり、キリスト教の普及に伴い、インド・中国を経て日本に伝来してヤマタノオロチ伝説を生んだという経緯らしい。2020/06/01
さとまる
8
図書館本。シュメール、アッカド、ヒッタイトなど各文明の遺跡から発見された粘土板に楔形文字で刻まれた神々の物語。それらの成り立ちなど神話学的な論考では無く、神話そのものを翻訳・再編集して並べている。イシュタルやギルガメシュ、エンキドゥなど名前は知っていてもどんな神か知らなかったので大変興味深く読んだ。ノアにつながる洪水神話とか深く知りたくなる。2025/01/19
RX93
3
▼シュメール→アッカド→ヒッタイトと引き継がれてきた神話。それぞれ言語が異なるため神々の名も微妙に異なる。創世神話も複数系統あり。アプスー(真水)とティアマト(塩水)▼(ゼウス的な)最高神の系譜:アヌ神→エンリル神→マルドゥク神。都市ごとに各々崇める神がいた。バビロン市の神であったマルドゥクは、同市の支配拡大とともに格上げ▼冥界の話はどの神話でも多く。イシュタル神の冥界下り。姉エレシュキガルは冥界の女王▼ギルガメシュ叙事詩:ギルガメシュ、エンキドゥ、ウトナムシュティム(..ここで大洪水の神話と結びつく)2023/08/27
めーてる
2
メソポタミア文明(シュメール人、アッカド人、ヒッタイト人)の楔形文字を使って記された様々な神話を、簡潔に読みやすいかたちで記した本。年代と言うか、異なる文明ごとに同じ話でもかなり内容が異なっていて、興味深い。2024/03/13