出版社内容情報
ホッブズ最初の政治理論書。十七世紀イングランドの政治闘争を背景に、人間本性の分析を経て、安全と平和をもたらす政治体が考察される。解説 加藤節
内容説明
「人間の本性とはなんであるか、政治体とはなんであるか、また、いわゆる法とはなんであるか」。1640年に発表された最初の政治理論で、ホッブズはこれらの問いに答える。人間本性の分析を通して描き出される、自然状態=戦争状態。そこから脱する政治体として、選ばれるべきものは何か―。大著『リヴァイアサン』へと発展する議論の核心は、本書のうちに用意されているといってよい。イングランドが政治的混乱に見舞われるなか、ホッブズの願いは、自らの学説によって人々に平和への指針を示すことにあった。「ホッブズ哲学の最良の展開の一つ」と評される作品を、達意の訳文と充実した訳注でおくる。
目次
第1部 自然的人格としての人間について(人間の自然的能力の一般的区分;感覚の原因;想像および想像の種類について;いろいろな種類の心の推理について;名辞、推理、および言語の推論 ほか)
第2部 政治体としての人間について(コモンウェルスの設立に必要なことがらについて;三種類のコモンウェルスについて;主人の権力について;父親の権力および世襲の王国について;各種類の統治の不都合の比較 ほか)
著者等紹介
ホッブズ,トマス[ホッブズ,トマス] [Hobbes,Thomas]
1588‐1679年。イギリスの哲学者・政治思想家。経験論・唯物論・唯名論を総合した立場に立ち、自然学・人間学・政治学の三部からなる壮大な哲学体系を構想する
高野清弘[タカノキヨヒロ]
1947‐2017年。京都市生まれ。東京教育大学文学研究科社会学専攻法律政治学博士課程単位取得・退学。甲南大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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