内容説明
本書は、歴史家ブルクハルトが、ルネサンスを単なる「古代の再生」として捉えず、あらゆる分野における近代化への移行運動として大胆に解釈しなおしたものである。細部まで組織化されていく中央集権国家、陰謀・同盟・裏切り・買収、そして冷徹な打算に基づく外交政策。それらを通じて、近代的な社会と人間の生活様式文化は、いかにして出現したのか。「ルネサンス」の本質を細部において総合的に捉え、人類史上突出した時代として発見した畢生の大著。上巻は「精緻な構築体としての国家」「個人の発展」「古代の復活」の三章を収録する。
目次
第1章 精緻な構築体としての国家(十四世紀の専制君主;十五世紀の専制君主;群小専制君主 ほか)
第2章 個人の発展(イタリア国家と個人;人格の完成;近代的名声 ほか)
第3章 古代の復活(廃墟の都ローマ;古代の著作家たち;十四世紀の人文主義 ほか)
著者等紹介
ブルクハルト,ヤーコプ[ブルクハルト,ヤーコプ] [Burckhardt,Jacob]
1818‐97年。スイスの美術史家・文化史家。ベルリン大学で、歴史家ランケと美術史家クーグラーに学ぶ。1858年から35年にわたってバーゼル大学教授として歴史学、美術史を講じる
新井靖一[アライセイイチ]
1929年生まれ。早稲田大学名誉教授。専攻、ドイツ文学・西欧文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Fumoh
2
ヤーコプ・ブルクハルトの名著として名高い「イタリア・ルネサンスの文化」、上巻では主に「国家」「個人」「古代の復活」という三章に分けて論じていきます。名著とされてはいますが、一般的な読者の興味は残念ながら惹かないだろうなというのが率直な感想でした。ブルクハルトの詳細な説明・記述は、確かに研究者からすれば非常にわかりやすく、また驚きの内容ばかりだろうと思います。しかし一般的な読者からすれば、もう少しブルクハルト自身の、この書のテーマというか、説明の方向性のようなものが提示された方がよくて、トークテーマの範囲を2025/04/04
てり
2
塩野七生から流れて手に取ってみたが自分にはちょっと難しかったかな。上巻は第一章で各都市国家や教皇などルネサンス期イタリアの支配体制を概観し、第二章で「個人の発展」、第三章で「古代の復活」を取り上げる。チェーザレ・ボルジア(というかボルジア家)への見方が塩野さんとは全く違って、隙あらば毒を盛る的な感じに思わずニヤける。(下)に続く。2023/02/06
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