ちくま学芸文庫
第二の産業分水嶺

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  • サイズ 文庫判/ページ数 662p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480097248
  • NDC分類 332
  • Cコード C0133

出版社内容情報

資本主義の根幹をなすのは生産過程である。各国の産業構造の変動を歴史的に検証し、20世紀後半から成長が停滞した真の原因を解明する。解説 水野和夫

内容説明

資本主義の根幹にあるのは、商品生産=産業である。ならばその構造的変動こそ、資本主義の実像を最も露わに映し出しているはずだ―。長らく成長を続けてきた世界経済は、20世紀後半になると次第に停滞の様相を呈していく。本書では、その根本原因を見定めるべく、ヨーロッパ各国、アメリカ、日本において産業構造がどのように形成され、変容していったのかを歴史的に比較検証していく。高度成長をもたらした生産体制が、いったいなぜ経済停滞の原因へと反転したのか。産業構造のダイナミクスという視点から、20世紀資本主義の興隆と挫折を描き出した記念碑的名著。

目次

第1章 序論
第2章 大量生産体制―宿命的かつ盲目的な選択
第3章 巨大株式企業
第4章 経済の安定化
第5章 グローバルな視点・ミクロの視点
第6章 保存された諸事例―アメリカ以外の諸国における大量生産体制とクラフト的生産体制
第7章 大量生産体制の危機
第8章 危機に対する企業の反応
第9章 歴史、現実、および各国の戦略
第10章 繁栄の条件―ケインズ主義の国際化と柔軟な専門化
第11章 アメリカと柔軟な専門化

著者等紹介

ピオリ,マイケル・J.[ピオリ,マイケルJ.] [Piore,Michael Joseph]
1940年生まれ。マサチューセッツ工科大学経済学部教授。労働経済学を専門とし、Birds of Passageなどの著書がある

セーブル,チャールズ・F.[セーブル,チャールズF.] [Sabel,Charles Frederick]
1947年生まれ。コロンビア大学ロー・スクール教授。産業社会学を専門とし、Work and Politicsなどの著書がある

山之内靖[ヤマノウチヤスシ]
1933‐2014年。東京外国語大学名誉教授、フェリス女学院大学名誉教授。経済学博士。現代社会理論、歴史社会学を専門とし、『総力戦体制』などの著書がある

永易浩一[ナガヤスコウイチ]
1941年生まれ。錦城高等学校教諭。一橋大学大学院経済学研究科修了

菅山あつみ[スガヤマアツミ]
宮城県仙台三桜高等学校教諭。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

28
1984年初出。先ず、巻末の山之内名誉教授のあとがきによると、レギュラシオン学派との違いは、現在の危機を蓄積様式と調整様式の乖離と見なすのではなく、本書は蓄積様式内部に注目している点(630頁)。失業者問題や経済の低成長という慢性的問題は、解決されぬまま(013頁)。本書の目的:経済的再建を可能ならしめる新たな生産体制の前提条件を解明する(020頁)。大量生産体制:特殊化された生産資源を用いて一般的な製品を作ること(058頁)。2016/07/11

富士さん

4
アニメ関連の経済や労働を説明するには有用な基礎理論です。大量生産に基づく寡占大企業と労働組合がいっしょになって有効需要を喚起し、大成功したケインズ社会主義が1970年代前半にインフレと需要減によって危機を迎えたので、それを乗り切るには多品種少量生産と、大量生産の基礎思想である標準化からの脱却であるというのが本書の歴史観。そして、成否のカギを握るのは職人性であり、実はこれは大量生産下でも活動していてそれを下支えしていたというのが本書の骨子だと読みました。学史の中での評価は知りませんが、おもしろいと思います。2019/12/27

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