出版社内容情報
日常の「自明と思われていること」にはどれだけ多くの謎が潜んでいるのか。哲学の世界に易しく誘い、その歴史と基本問題を大づかみにした名参考書。
内容説明
哲学とはどういう学問なのか?科学も答えてくれない人間をめぐる謎を、哲学はどのようにして解き明かすのか?日本を代表する哲学者がやさしく解説。第一部ではソクラテス以前に遡る西洋哲学の誕生から、現代までの歴史を大づかみ。第二部では、いまを生きるために避けて通れない問題―自然とのかかわり方、心と身体の関係、死との向き合い方など―をテーマごとに丁寧に考察する。数ある入門書のなかでももっとも基礎の基礎から説きおこし、自分の頭で問いを掘り下げる哲学的思考へと誘う名テキスト。
目次
第1部 哲学とは何か(哲学の誕生―神話的・呪術的思考と哲学;西洋哲学の展開;現代哲学の諸傾向とその問題点)
第2部 現代に生きる人間と哲学(人間における自然と文化;心と身体;哲学における死の問題;人間の社会性;人間の自覚としての哲学―むすび)
著者等紹介
木田元[キダゲン]
1928‐2014年。中央大学教授、名誉教授。戦後日本を代表する哲学者。ハイデガー、メルロ=ポンティを中心とした現代哲学を専門とする
須田朗[スダアキラ]
1947年生まれ。中央大学教授。カント、ハイデガーなどドイツ近現代哲学が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
32
看護学生を哲学的なものの考え方に導き入れようというねらいをもつ本(011頁)。<存在という視点の設定>という出来事は、人びとの選ぶ、基本的な生活形式と連動している可変的な出来事である(041頁)。アリストテレスの著書を踏みつけるデカルト(087頁)。尊敬の欠片もないのか? <実存主義>とは、本質規定に先立っておのれが存在するという人間の根源的事実に足場を置こうとする思考態度(150頁)。キルケゴールは、背骨が彎曲する生まれつきの障がいを持っていた(152頁)とは知らなかった。2016/07/10
ゲオルギオ・ハーン
26
看護学生向けのテキストとして書かれた一冊だけあってとても丁寧に書かれていて哲学に親しむことができた。古代ギリシャから現代までの哲学の歴史の概説からスタートして、自我や認識、自然、死など哲学らしいテーマを分かりやすい表現、文章で書いているので考えながら読むことが出来ました。自然の中で生きるという発想ではなく、自然をコントロールできるという発想が哲学にはあることや物にはそもそも形成される可能性が内在しているそうです。運命的な考え方が強いのかなという印象。哲学についてももっといろいろ読んでみたいです。2021/05/17
ラウリスタ~
20
非常にうまく書かれている本だと思う。もともとは看護学生を対象に書かれたため、「哲学科の学生なら知っていて当然」すぎて普通の入門書では触れてくれない根幹から懇切丁寧に、踏み込みすぎることなく、それでいて一貫して相互に関連した歴史として哲学を俯瞰させる。もっと早くにこの本を読んでいればなあ、哲学の系譜が頭の中に入っていないと、これまで個々の本を読んでも全く分かっていなかったということがよくわかった。2016/05/13
Gokkey
8
この木田先生の著作は今のところハズレなし。この著作は看護学校の学生向けに書かれたらしいが、私のようなビジネスマンが一般教養としておさえておくべき内容としても十分と思うし、さらに知見を深めたい場合は巻末の参考文献をあたれば良いかと。特に前半の哲学の歴史の流れが秀逸で、デカルト~カント~ヘーゲル~ニーチェの箇所は何度も読み返した。こんなテキストで講義を受けていたら私の学生時代のパンキョーの出席率ももっと高かっただろうに…と年を重ねた今思う。2019/11/09
遊た(ゆうた)
7
この本は看護学生の教科書として書かれたものらしいが、今どきの学生は基礎的な教養として哲学について勉強するのだと思うと感心した。この本の内容はけっして簡単であるというわけではないと思うので、読むことに苦労する人もいると思うし、読むことでかえって悩んでしまう人もいるかもしれない。しかし、医療現場での倫理的問題を考えるうえでは参考になることは間違いないと思うので、読んでみて損はないだろうと思った。2017/08/30