ちくま学芸文庫
プラグマティズムの帰結

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 636p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480096135
  • NDC分類 104
  • Cコード C0111

内容説明

知識の確実な基盤を設立すべく、実在と認識との対応(=真理)を飽くことなく求めたデカルト、カント。近代西洋哲学の底に流れるそうした認識論的欲求を脱構築し、新たな知の形を模索したハイデガー、ウィトゲンシュタイン、そしてデューイ。これら二つの勢力の相克こそが「哲学」であると考えるローティは、後者になお残存する「認識論的」衝動からも解放される「ポスト“哲学”」時代を予告した。それでは哲学にはいま何ができるのか?「真理」とは何でありうるのか?本書では主著『哲学と自然の鏡』刊行後に巻き起こった激論に応答しつつ、さらなる問いへと挑む。

目次

プラグマティズムと哲学
たとえ世界を失っても
哲学を純粋に保つこと―ウィトゲンシュタイン試論
伝統を超えること―ハイデガーとデューイ
職業化した哲学と超越論主義文化
デューイの形而上学
エクリチュールとしての哲学―デリダ試論
虚構的言説の問題なんてあるのだろうか?
一九世紀の観念論と二〇世紀のテクスト主義
プラグマティズム・相対主義・非合理主義
カヴェルと懐疑論
方法・社会科学・社会的希望
今日のアメリカ哲学

著者等紹介

ローティ,リチャード[ローティ,リチャード] [Rorty,Richard]
1931‐2007年。20世紀英米圏を代表する哲学者。1979年、『哲学と自然の鏡』において、ポスト“哲学”的時代の到来を予告して衝撃を与えた。また、政治、経済学、社会学など幅広い分野での発言においても大きな影響力をもった

室井尚[ムロイヒサシ]
1955年生まれ。横浜国立大学教育人間科学部教授

吉岡洋[ヨシオカヒロシ]
1956年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授

加藤哲弘[カトウテツヒロ]
1953年生まれ。関西学院大学文学部教授

浜日出夫[ハマヒデオ]
1954年生まれ。慶應義塾大学文学部教授

庁茂[チョウシゲル]
1953年生まれ。神戸大学国際文化学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

21
1972年初出。解説によると、プラグマティズムとは、知識の区別を廃棄し、プラトン主義と実証主義の論争の伝統からも身を引く試み(599頁)。ジェイムズの考えでは、真の とは善い や 合理的な と同様規範的概念(050頁)。知的正しさとは、あらゆる人が充分な時間と論証能力とを与えられれば受け入れるような命題を見出すことで可能となる(060頁)。ポスト哲学的文化は、みずからを限りある存在でそれを超える何ものかと結びついていないものとして感じるような文化(089頁)。    2014/08/12

またの名

12
正しいワレメに正しいモノが挿入されるのを欲するノーマル派と正常な挿入以外の逸脱的快楽を求めるアブノーマル派との差異に等しい真剣さしか、カント派と非カント派の対立問題は持ってないと断じるゲスい哲学書。長く争われてきた哲学上の大議論がどうでもいい話で答えを出す必要を感じないというプラグマティズムの先鋭化は大文字の哲学も真理もないので探求せず、哲学による万学の基礎づけも我こそは他より科学的で客観的な思想という主張も認めない。哲学は掲示板のスレた書き込みのような皮肉によって破壊され、その次へ進む道が険しくなった。2020/04/15

孤独な読書人

5
今までの哲学の枠組みを問い直しているみたいくらいしか読み取れなかった。2019/12/31

富士さん

4
著者とプラグマティズムの考えが自分に近いと知って、その考えを理解したく手に取りました。訳者の方が言われているように、哲学界隈の内輪話がわかっている前提で書かれているため、意味がサッパリな論文も多く、本書を選んで軽く後悔しました。入門としては、混同される思想と比較してプラグマティズムを説明した「プラグマテズム・相対主義・非合理主義」と、自身の科学哲学を示している「方法・社会科学・社会的希望」、加えて序論くらいで事足ります。同じ効果があるなら同じでいいじゃん、というのは世界の認識を揺さぶる切り口だと思います。2023/11/13

ポルターガイスト

3
「正しい」とか「真である」とか言うとそれが現実から遊離していろいろよくない影響をもたらすから,いっそのこと「役に立つ」をその代わりに置くべきなんじゃないの。だとしたら「正しさ」や「真」をまっしぐらに追究してきた〈哲学〉はオワコンだね。という内容を手を変え品を変え述べたエッセイ集。古代から現代まで広く思想の歴史を踏まえて記述しておりかなり難しい。7章はもう飛ばしてしまった。ヘーゲルはもちろん,ニーチェ,ハイデガー ,フーコーらの裏にプラグマティズムが見え隠れするの,とてもよくわかります。2023/02/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8072759
  • ご注意事項