内容説明
ことばの美しさとは何か。日本語を読むとはどういうことか。日本人にとって近代とは何だったのか。本書では、読解の実践的なテクニックとならび、日本近代文学が向き合わざるをえなかったこうした問いにまで、作品を引きつつ考察をくりひろげる。巻末には、現代文の読解に不可欠な概念を解説した便利な用語集つき。
目次
国語学習の重要性
表現の典型としての文学
読解・鑑賞・批評
ことばの美しさ
詩的精神
古い芸術観と新しい芸術観
日本の近代
近代的自我
鴎外と漱石
近代文学の展開
作家の宿命
近代文学のリアリティ
著者等紹介
高田瑞穂[タカダミズホ]
1910(明治43)~1987(昭和62)年。静岡県生まれ。東京帝国大学文学部国文学科卒業。大学院では国文学のほかに哲学も専攻。府立第一中学校(現・日比谷高校)教諭、成城高等学校(旧制)教授、校長などを経て、1954年に創設された成城大学文芸学部教授に就任。その後、成城大学名誉教授。近代文学研究の第一世代として活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
190
読解→鑑賞→批評の三段階を経て、現代文読解は客観的批評に辿り着くという。知見や教養の狭い自分には、批評の客観性は難しいと思ってきた。が、《批評に客観性を与える唯一の道は、一見客観的な態度と見られる他の意見との対立とその克服であるよりは、むしろ、不断の自己批判である》の所を読み、現代文とつき合う道は自分の内側に問いを向けることにあるのだと知った。後半は、詩、芸術、近代精神と話が続き、多くの作家の引用がある。その一つ一つを正しく理解し得たとは思わないが、懊悩は伝わってきて、近代日本の精神史に触れる思いがした。2024/09/25
KAZOO
92
高校生向け現代文の副読本としてはかなりレベルが高いものなのでしょう。私の受験時代はこの先生の「新釈現代文」と通信添削のみで勉強したので愛着があります。近代文学についての概要がよくわかるのですが、内容的は今の高校生にはとても無理で大学教養課程でしょう。わたしは知識の再確認となって参考になりました。弟子の石原千秋先生が解説を書かれています。2019/03/25
1.3manen
17
1982年初出。沢山の本を読み続けたものの内側の状況、内的風景は、一見の本屋に似る。雑多な書物が整理されて並ぶ。一冊の書物が、観賞を経て取り入れられる(053頁~)。漱石の講演「現代日本の開化」@和歌山で、他者の外なる力に強いられた不自然な開化を、 その奥で不可避とした史的理由も、 考えないわけにはゆかないとする (112頁~)。 森鴎外の美的に対して、 漱石の倫理的という個性の相違 (157頁)。 文学をめぐる問題の総てを 通じ、その根底にあり続ける 課題は、何を、如何に描くか ということ(200頁)。2014/08/19
たか
7
発行されたのはつい最近ですが 書かれたのはかなり昔のようですので やや難解。2014/04/25
しんえい
6
「ことばの美しさは、それを享受するものの目の深さに依存するものであることは、改めて言うまでもない。ことばの美しさとは、その意味においては、客観的な存在ではない。しかし、あることばの記述は、誰の目にも同じように映る。そしてそこからある感銘を受ける、そのことばは永遠に同じ姿でわれわれの前に在る、その意義からは、客観的である。こういう主観的なるものと客観的なるものとの融和の瞬間、それが美的体験の本質なのである」(73頁) 改めて、美しいことばに触れることの大切さを感じた。近代文学を読みたくなる1冊。読むぞー。2023/02/24




