出版社内容情報
動物行動学の見地から見た人間の「生き方」と「論理」とは。身近な問題から、人を紛争へ駆りたてる「美学」まで、やさしく深く読み解く。
内容説明
人のおっぱいはどうしてこういう形になったのか。一夫一妻の論理と流行のファッションとの意外な関係とは。少子化のコストベネフィット。戦争の背後にある、遺伝子に組み込まれた攻撃性とは別の「美学」の問題。科学と神はほんとうに対立するのか。―動物行動学の草分けとして長く第一線で活躍した著者が、あえて動物学的見地から「人間」を問う。言葉をもって概念を生み出すようになった人間は、どのような存在になったのだろうか。身近で多彩な例を引きつつ、表面的な現象の奥にある人間の行動論理を、やさしく深く考察する。
目次
第1章 人間はどういう動物か(人間と動物;直立二足歩行;毛のないけもの ほか)
第2章 論理と共生(町の動物たち;都市緑化における触覚;計画と偶然の間 ほか)
第3章 そもそも科学とはなにか(動物行動学が提出した問題;ファーブルなんて「愚の骨頂」だった;ローレンツは時代の「すこし先」をいっていた ほか)
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930‐2009年。東京大学理学部動物学科卒。東京農工大学教授、京都大学教授、滋賀県立大学学長、総合地球環境学研究所所長を歴任。理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mumiu
15
学術的にどうかなというところはあるけど面白い!共感してしまう。種の保存という本能だけでは解決できないところを利己遺伝子という概念で背負い投げしています。だから子殺しとかあるわけ、なんて言われたら納得する。ヒトのオトコとオンナ、それぞれ浮気する理由なんていうのもそう考えればわかりやすい。オトコは撒く種族で、オンナは選ぶ種族。浮気したとき、オトコは自分の遺伝子を持たない子孫の可能性を感じてオンナを憎み、オンナは自分の遺伝子のをもつ子孫のライバル出現の可能性を感じて、相手のオンナを憎んじゃうんだよね!?なんて♪2013/07/19
ラウリスタ~
12
難しいことを易しく書く本の良い見本。監獄学園での尻と胸の話の元はこの本(正確にはデズモンド・モリスからの引用として)っぽいな。魚の世界でのコムデギャルソン戦略とか、面白い。「利己的遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンズのとなえるミーム(meme)という概念も、重要そうだ。たとえ、遺伝子としては後世に自分が残らなくとも、自分の名、業績、思想が残ればという思い。ウグイスの「ホーホケキョ」は、その音を聞かないと発しないが、それへの注目は遺伝子にインプットされているという教育の話。多岐にわたる面白い話の数々。2016/05/03
ジョニジョニ
8
”人間もまた動物である。”という出だしの一文を、本当に受け入れられるかどうかで、理解は変わると思います。飲んで食べて、出して寝て、子孫を残すために頑張る。それだけじゃイヤだ!と人間はおもうから、他の動物とはちがう、と、僕は思っている。だから人間は上に立つ存在…なんて、きっと間違ってる。全ての動物は今現在において進化の頂点にある、という考え方をするべきなんじゃないかな、と思います。同じ話も多い著者だけれども、何度聞いても面白い。先生!とよびたくなります。2024/04/08
マネコ
8
動物の習性や観察を人に当てはめ、人の行動や考え方を分かりやすく解説しています。人も動物でありそんな高尚な存在ではないということを出発点に、色々な謎や疑問を解決するいい機会になると思います。2019/02/23
ふろんた2.0
5
★★★2018/06/27