出版社内容情報
聖人100人以上の逸話を収録する『黄金伝説』は、中世以降のキリスト教美術の典拠になった。絵画・彫刻と対照させつつ聖人伝説を読み解く。
内容説明
13世紀のヨーロッパ、修道士ヤコブス・ド・ウォラギネによって書かれたキリスト教聖人伝『黄金伝説』。イエスやマリア、十二使徒をはじめ、総勢100人以上の聖人の生涯を収録したこの長大な書物は、聖書とともに、中世以降のほとんどのキリスト教美術の画題になったといってよい。本書は時代順の章立てで、主要な聖人ごとの逸話を絵画・彫刻など多数の美術作品と対照させつつ読み解き、キリスト教の本質に迫っていく。好評の学芸文庫書ろしオリジナルの「美術で読みとく」シリーズ。カラー口絵付。
目次
序章 『黄金伝説』について
第1回講義 マリアとイエス・キリスト
第2回講義 十二使徒たち
第3回講義 1世紀の聖人・聖女たち
第4回講義 2‐4世紀の聖人・聖女たち
第5回講義 3‐5世紀の聖人・聖女たち
第6回講義 その他の聖人・聖女たち
著者等紹介
秦剛平[ハタゴウヘイ]
1942年生、現在、多摩美術大学名誉教授、ケンブリッジ大学(クレア・ホール)フェロー、ヨセフス・セミナー運営委員、ヘレニズム・ユダヤ教部会運営委員(聖書文学協会、アメリカ)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
403
おもしろい。キリスト教の聖人たちを、彼らが描かれた具体的な絵画とともに紹介する内容なのだが、かなりフランクに絵画および聖人伝説を茶化す文体となっていて、読みやすい。これは、著者がどちらかというとユダヤ教に近しい人物であり、キリスト教(とくにカトリック)の中世における教会至上主義に嫌悪感を抱いているからこそ書けるものなのだろう。ちょっと、一部ではその挑発的なものの書き方が行き過ぎに感じる部分はあるが……。あと、文庫だから仕方ないが、絵画がモノクロで小さく、解説されても判別できないのは残念な部分である。2016/10/30
kaori
28
宗教絵画に聖人の知識は必須でしょう!と読み始めたが、まぁ残念なこと(笑)。著者の語り口の下衆っぽさに辟易。批判するのは良い。でも単なる否定では誰でもできる。仮に語り口に目を瞑っても肝心な論調があちこち飛ぶ(笑) 言及しておきながらそのもう一歩先がない。こちらが知りたいその先まで踏み込まず、肩透かしの感。シリーズの4作目という本書で、前書も読むつもりでいたが、もういいかな~。2015/11/30
aisu
13
聖兄の非公式本で参考文献になっていた。13世紀、ウォラギネという修道士が聖人達について書いた「黄金伝説」から、キリスト教美術に多く用いられている人をピックアップして紹介している。白黒の小さな絵だが、ないよりマシ。時々本音をぶっちゃけていて(「こんな奇跡を起こしたとされています。ホント?」的な)、無宗教の私などはクスッとなるだけだが、真剣にキリスト教について学ぶ目的の人に叱られないか余計な心配する。目次が索引になっているので、あの人って何した人だっけ?となった時に逆引きしやすい。2023/12/10
Fumoh
7
ウォラギネという中世の聖職者が書いた「黄金伝説」というカトリック聖人物語を参照しながら、ヨーロッパの宗教画を読み解いていくという趣向の本です。宗教画のモチーフとして様々なカトリックの伝承が用いられていますが、解説などされなければ確かに読み解くことは難しい。アトリビュートといって、画の中の人物に対して、神や聖人であることを示す特徴や「モノ」を書き添える決まりがあるのですが(ペテロ=鍵など)、顔や年齢は割と自由に決めてよい余地があったので、アトリビュートが分かりにくかったり、邦訳されていないヨーロッパの民間2025/06/28
ジュンジュン
4
シリーズ前三作が好評だったのか、今回はカルチャー教室での講義録を書籍化。コンセプトは同じ、軽すぎる語り口も、ウィットすぎるコメントも。2018/08/11
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