出版社内容情報
謎めいたイメージが先行し、正しく捉えづらい密教。その歴史・思想から、修行や秘儀、チベットの性的ヨーガまでを、明快かつ端的に解説する。
内容説明
謎めいたイメージが先行し、正しく捉えることが難しい密教。本書は、まずその定義にはじまり、インド・チベット・中国各々における密教の歴史・思想を概説しつつ、日本の密教をインド以来の仏教史全体の中に位置づける。そして、伝統的な密教教学をできるかぎり分かりやすく解説した上で、マンダラの理論と実践、チベット密教の性的ヨーガをふくむ代表的な儀礼・修行についても詳細に解説する。巻末には、国内密教寺院案内・ブックガイドを付すなど、密教を理解するための基本要素をすべて盛りこんだ必携の一冊。文庫化にあたり新章「修験道の世界」を書き下ろし増補する。
目次
第1章 密教とは何か
第2章 キーワードで考える日本密教
第3章 マンダラの理論と実践
第4章 修行と秘儀から考える日本密教
第5章 日本密教を知るための手引き
補遺 修験道の世界
著者等紹介
正木晃[マサキアキラ]
1953年神奈川県生れ。筑波大学大学院博士課程修了。国際日本文化研究センター客員助教授、中京女子大学助教授、純真短期大学教授を経て、慶應義塾大学文学部・立正大学仏教学部非常勤講師。専門、宗教学(日本密教、チベット密教)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クサバナリスト
5
密教美術を学習するための密教の基礎知識として読んだ。2018/12/04
アル
5
まさに入門書として理想的な本。 第一章には密教がいかにして生まれてきたか、また発展と消長の歴史、日本とチベットにだけなぜ生き残ったか、両者の違いの理由など、量を抑えながら必要十分な内容が記述されている。 第二章以降には密教を特徴付ける教理や行法、曼荼羅などをひと通り網羅し、最後にはより深く調べるための寺院案内やブックガイドまで。 簡単すぎず、難解すぎず、全体像をつかめるのがありがたい。2013/07/01
Liu Hachi
3
何故即身成仏が可能なのかという大変重大なポイントについて驚くべき解説をしている。 勃興するヒンドゥー教に対抗する必要性があったのではないかと思いますが、その点についてもっと知りたいと思っています。2020/10/14
RA
3
お坊さんが書いた入門書だとスルーされてしまいがちな性的ヨーガや、経の翻訳過程での捏造、政治的事情にまで踏み込み、実際の瞑想法や護摩法に詳しい。ひと味違う一冊2019/08/07
チエコ
3
結局難しくてよくわからず。カルト宗教なんかで教祖と女性信者が関係を持っていた、なんて嫌なニュースをたまに聞きますが、密教も一歩間違えるととても危険な領域にいってしまうことがわかりました。2014/04/30