ちくま学芸文庫
ドストエーフスキー覚書

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  • サイズ 文庫判/ページ数 444p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480094506
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C0198

出版社内容情報

深い洞察によって導かれた、ドストエフスキーを読むための最高の手引き。主要作品を通して絶望と死、自由、愛、善を考察する。

内容説明

ドストエフスキーの文学は、いまなお私たちの魂を揺さぶってやまない。長大な作品の最初のページを開いた瞬間から我知らず引き込まれてゆくのはなぜか。「この本を出したのは、思想的な牽引力が私をドストエーフスキーに引き付けたからであった。思想的とは、人間の現実に直入して、その中核を把握する力強さについてのことである」。著者は『罪と罰』に罪悪感を、『悪霊』に絶望と死を、『カラマーゾフの兄弟』に自由と愛を、『白痴』に善を考察し、『死の家の記録』に「人間」を発見する。深い洞察に導かれた「読み」は、その作品世界を味わうための最良のガイドとなっている。

目次

1 ドストエーフスキーの罪悪観―『罪と罰』の一考察
2 ドストエーフスキーにおける絶望と死―『悪霊』の一考察
3 スタヴローギンの精神像
4 コーリャ・クラソートキン―『カラマーゾフの兄弟』の中の一挿話
5 ドストエーフスキーにおける「自由」の一考察―『大審問官』の場合
6 『ロシアの僧侶』をめぐって―ドストエーフスキーにおける愛
7 ドストエーフスキーの『罪と罰』について
8 ドストエーフスキーにおける神と人
9 ドストエーフスキーにおける「善」について―『白痴』をめぐって
10 『人間』の発見―『死の家の記録』をめぐって

著者等紹介

森有正[モリアリマサ]
1911‐76年。東京大学文学部仏文科卒業。東京大学助教授を経て、50年渡仏。のちパリに居を構え、26年間、ソルボンヌ、国立東洋語学校などで、日本語や日本の文学・思想を講じた。深い哲学的省察に満ちたその“思想エッセー”は、西洋思想を学ぶ者のみならず、自己に誠実であろうとする多くの読者に迎えられた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

人工知能

9
重厚なドスト論だった。納得しながら読んだ。「それ(ドスト小説)は常識的な現実の把握そのものが含む実証的、対象的な、混濁した現実を昇華して、人間としての現実、存在の現実とも言わるべきものを、その純粋態において把握しようとしたものである。したがってそれは現実よりは一層現実的であるとも言われるのである。」「イワンの生命愛は、生命そのものに対するのではなく、生命の意義に対する愛、ことに死の自覚を前にして絶望的に生を享受しようとする欲求だったのである。」2016/07/27

ラウリスタ~

6
戦後四年目に出版された本がいま文庫化。フランス文学者である森有正が、なぜかドストエフスキーについて綴った、「ノート」。専門でないからか、自由奔放にドストエフスキーの作品に触発されて感じるもの、考えたものを書いていく。パスカルを読み込んだ人間が読む、ドストエフスキーであったりと見るべき点は多いと思う。文章は読みやすい。ドストエフスキーの主要な作品を読んでいることが前提とはなるだろうが、一般受けも十分しそう。2012/06/14

午後

1
「ヂューチカは、もともとイリューシャにとって、単なる一匹の犬、どこにでもいる平凡な番犬にすぎなかった。しかしかの事件に際しての邂逅において、ヂューチカはイリューシャにとって他の犬とおきかえることのできない存在となってしまった。イリューシャにとって、元気なヂューチカを目前に見ること以外に慰めはなくなってしまったのである。それがかれにとっての罪の赦しなのである。殺したものの復活、これ以外にかれの赦し、かれの慰めはないのである。」p.1742023/04/26

Vakira

1
森氏の感想と分析はフ~ンって感じ。他人の感じ方は自分と違う部分は面白く読めたが、かなり偏って深読みの感もある。しかしながら、ドスト小説の文章引用が多く、自分が読んだ時の感動を蘇らせてくれるので、楽しく、またどドスト小説を読んでみたくなった。2014/01/25

いっぺい

1
「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」「死の家の記録」からいくつかのシーンを抜粋してドストエフスキー作品における罪悪観、善などを考える。「白痴」のナスターシャなんかに顕著な、その本人だけではなく周りの関係性からその人を捉える、ポリフォニー論にも通じる考え方が印象的だった。2012/11/02

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