内容説明
人はなぜ数学に魅了されるのか。世の中の役に立つだけでなく、それ自体の美しさがあって、快いものだからだ。「数学は芸術に似ている」―では、その美しさとはどういうもの?一般向けの数学書を多数執筆し、そのわかりやすさに定評のある著者が見せてくれるのは、イメージ豊かで精緻な数学の世界だ。話題は代数・幾何の基本から群論、線型代数、そして4次元の幾何学、ゲーデルの不完全性定理、コンピュータのしくみまで多彩。図版を巧みに使いながら、直観からのアプローチで現代数学の姿を展望する。
目次
数学とは何か
図形の運動
高等算術入門
集合の代数
関数
抽象代数入門
対称性と群
公理とは
無限集合
トポロジー
間接的推理
位相不変量
代数的位相幾何学
超空間へ
線形代数
実解析学
確率論
コンピュータ
現代数学の応用
数学の基礎
著者等紹介
スチュアート,イアン[スチュアート,イアン][Stewart,Ian]
1945年、イギリス生まれの数学者。ウォーリック大学教授
芹沢正三[セリザワショウゾウ]
1920年、東京生まれ。(旧制)北海道大学理学部数学科卒業。国立東京高専、法政大学、実践女子大学、山梨大学などを経て、東京高専名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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WATA
28
現代数学のわかりやすい入門書。合同式、群・環・体、トポロジーといった大学レベルの数学概念を直感的に教えてくれる。本書の特徴は枝葉の部分の数学的証明を捨てて、そのかわりに理解のためのイメージ図を増やしているところ。そのおかげで、つまづきやすい部分をスキップして、数学の概念を「新しい物事を表すための便利なアイデア」として受け入れることができた。大学の数学科で研究をする人には不足かもしれないが、私のような「数学に興味がある人」にとってはこれで十分。2014/03/03
ゲオルギオ・ハーン
23
確率や線形代数など学校で学んだことのある現代数学について、教科書にはないような説明がされている一冊。著者は数学者たちの慎重さ、矛盾がないことを確認していくプロセスにも注目して説明している。そのため、読んでいて難しくて十分に理解できなかった点もあったけど、数学の違う面も見れてこれまでよりも親しめるようになったものもありました。特に図形の証明は苦手意識もあったのですが初歩的なところから説明してくれたので楽しく読める点もありました。数学の本もたまに読んでいきたいです。2021/01/01
multiplus
3
超絶わかりやすい。教科書的だが。2016/03/30
Yasomi Mori
3
数学という領域には確実に関心をもちつつも、大学で実際に講義を受けてみると案外ちっとも面白くない。このギャップを補完したくて手に取りました。/本書のなかで一番面白く読めたのが「公理系」の章。ゲームのルールに相当する少数の仮定(公理)から大きな体系を構築するという数学の基本的な方法論。そして仮定の設定の巧拙が、その公理系の魅力を左右するのだ、と。──なるほど。僕が惹かれていたのはこのレイヤーの議論であり、数学の講義で扱われる問題系はいわば「近過ぎた」(専門的すぎる)のだなあ、とひとり静かに膝を打つ。2014/04/30
つづりさん
3
数学のいろいろな分野についての概観本。各分野のつながりというか一般化の強みというかが分かったつもりになれた気がする。2014/03/11