出版社内容情報
美の人として知られる柳。しかし彼の主眼は、社会をよりよい方向に変革することにあった。その思想の全貌を描くシリーズ第一巻。
内容説明
それまで見向きもされなかった生活雑器に美しさを見出し、「民藝」という美の基準を確立した柳宗悦。その蒐集から稀代の目利きとして知られているが、彼はまた、よりよい社会の実現を願う「考える人」でもあった。宗教哲学者として魂の救済を追求した柳は、慈悲の仏・阿弥陀仏の救済原理と出会い、現実社会に生きる人々を救うことを目指すに至る。白樺派の仲間、ロダン、ブレイク…柳思想の全貌を、彼に影響を及ぼした人々との出会いから探るシリーズ第1巻。
目次
学習院のこと
トルストイの百年祭に際して
宗教家としてのロダン
思想家としてのブレーク
ホイットマンとエマソン
宗教哲学の再建
バーナード・リーチへの手紙
聖者と乞食との対話
木喰上人発見の縁起
才市の歌〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
21
トルストイの偉大の一つ:問題対象が全人類の運命に関する点(020頁)。現代では、核兵器と放射能か。経験は吾々の唯一の所有である。この経験の最も直接的であり純粋であり根本的なものは直観である。直観は実在を捕え得る唯一の力である(060頁~)。フランシスが解した様に貧が一つの徳であった。心の貧しきものが心に富む者であった(187頁)。焼物は轆轤を正常の道とする。轆轤の廻転があって、焼物が焼物の姿になったとも云える。 2015/06/06
ロビン
18
トルストイ、ブレイク、ロダン、エマソン、ホイットマンら世界の思想家からリーチ、棟方、富本、濱田、河井ら民藝運動の仲間たち、果ては朝鮮人や沖縄人、アイヌ人、名もなき職工に至るまで柳が影響を受け美を見出してきた人々に関する論考集。柳という人の、その独自の深い信仰を背景にした、価値があるにもかかわらず蔑まれている文化圏の人々に対する強く温かい眼差しがよく伝わってくる。また理性による認識を大事にしながらも「信仰は合理を超えたもの」と考えていた辺り本当に信仰に対する理解が深い人だと感銘を受けた。民衆への愛も深い。2019/09/20
緑虫
1
★★☆ 「ひと」の巻は微妙。民藝運動、ひいては「人が眼を向けないものに眼を向ける」ということをどう理論立てて正当化するのか期待したけどその辺は「もの」の巻に期待すべきなのか。そもそも、どちらかというと理論の人ではなくて直感の人だというのがこの巻でわかったこと。2018/01/22
Auristela
0
キュレーターであって言葉の人ではないと思う。ドーマル読んだ後だから尚更ヒヒョーカという印象を拭えない。2013/09/09
MaL
0
★★★★☆2012/08/29