ちくま学芸文庫
魔都上海―日本知識人の「近代」体験 (増補)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480093127
  • NDC分類 222.21
  • Cコード C0122

内容説明

かつて東洋一の繁栄を誇り、モダンの代名詞となった都市、上海。本書ではその誕生から発展、絶頂期の爛熟、日本軍占領による「解体」にいたる歴史を、日本との関わりを中心に丹念に繙いていく。幕府使節が欧米諸国へ向かう経由地となり、谷崎潤一郎や芥川龍之介等の文学作品の舞台となり、やがて日本軍の大陸進出によって戦場となった上海。外灘に摩天楼が聳えたつ国際金融都市、茶館に娼婦やアヘン中毒者がたむろする退廃都市、租界を擁するコスモポリタン都市…。その刻々の貌に、日本人の憧れをかきたてつづけた魔力を探る。文庫化にあたり「魔都」のその後の軌跡を増補。

目次

プロローグ 二つの「上海」
第1章 サムライたちの上海
第2章 東アジア情報ネットワークの誕生
第3章 日本の開国と上海
第4章 「ロマン」にかき立てられた明治人
第5章 魔都に耽溺した大正作家たち
第6章 「摩登都市」と昭和
エピローグ 上海からみた日本
補論 上海ビッグバン―魔都、その後

著者等紹介

劉建輝[リュウケンキ]
1961年、中国遼寧省生まれ。遼寧大学卒業後、神戸大学大学院博士課程修了。北京大学比較文学・比較文化研究所助教授を経て、国際日本文化研究センター准教授。日中比較文学・文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ハチアカデミー

4
B 日本にとっての近代/モダンの入口として上海を捉え、幕末から現代までの日本人がどのようにその地を訪れ、疑似「西洋」を目の当たりにしたのか。横光利一を始めとした近代の作家と上海の関連に興味があったが、本書の半分以上を占める幕末期の論考に刺激を受けた。西洋の知識が、上海で漢文化され、その漢籍が日本へ輸入される過程が丁寧に辿られている。本が漢文化された背景には、プロテスタント系キリスト教の伝播という目的があったという指摘にも興味をそそられる。近代以降の日本人の道徳観にも、それは大きな影響を与えている。良書!2012/04/11

nene

3
19世紀中頃から100年間に渡る、上海と日本人の関係を描く。幕末の志士が上海を訪れて受けた衝撃、芥川龍之介、谷崎潤一郎、横光利一らの作家の目に映る上海の姿が紹介されて興味深い。見城と租界についても触れられており、今まで無意識に上海を歩いていた私には、目から鱗で、ひじょうに面白かった。2017/03/27

三柴ゆよし

3
辻原登『ジャスミン』の副読本として。2017/03/26

れうしあ

2
上海はその時空間的な伝統と近代の混沌故に魔都と呼ばれる。開港後、県城と相対するように租界が形成され、独自の近代発展を遂げる。幕末日本にとってはここが近代の最前線であり、ここから近代を学んだ。しかし明治になると、ナショナリズムを志向する日本政府にとってはコスモポリタンな世界は敬遠すべきものとされた。一方で、自由やロマンを求める個人を魅了する土地でもあった。そうした欲望空間としての上海摩登も、日本軍による租界接収により終わりを告げる。しかしその後も上海の名残は刺激となり郷愁となり、内外に生き続けることとなる。2019/09/05

kyou.13

2
中国人研究者が日本で書いた魔都上海に関する本。その時代ごとの日中の偉人が登場し、歴史的な観点だけでも一読する価値があります。個人的には、第五章の上海に沈溺した大正作家たちの話が興味深かったです。小説家の視点から見た上海の魔性は創造的・独創的で面白い。芥川と谷崎の対比が印象的でした。2013/07/02

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