出版社内容情報
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内容説明
人類はいかにして火を手に入れたのか―世界のあらゆる地域、民族に伝えられた神話や伝説のなかに、文明への一歩を特徴づけるこの神秘への、人類の飽くなき問いが刻印されている。地底の神々や先祖と戦い、隠された火の秘密を盗み出すポリネシアの大胆な若者たち。火を起こす技を秘めた男を惑わして、秘密を暴くアフリカの王女。大神ゼウスから火を奪った罰として、30年間、鷲に臓腑をえぐられ続けたプロメテウスをめぐるギリシア神話―。『金枝篇』で名高い人類学者・フレイザーが、壮大な神話の数々を通して、太古の人間の精神に迫る。
目次
序論
タスマニア
オーストラリア
トレス海峡諸島とニューギニア
メラネシア
ポリネシアとミクロネシア
インドネシア
アジア
マダガスカル
アフリカ
南アメリカ
中央アメリカとメキシコ
キタアメリカ
ヨーロッパ
古代ギリシア
古代インド
要約と結論
著者等紹介
フレイザー,J.G.[フレイザー,J.G.][Frazer,James George]
1854‐1941年。スコットランド生まれの人類学者。グラスゴー大学卒業後、ケンブリッジのトリニティ・カレッジに進み、リヴァプール大学教授、トリニティ・カレッジ教授を歴任。1914年にはナイトに叙任
青江舜二郎[アオエシュンジロウ]
1904‐1983年。劇作家、評論家。東京帝国大学文学部印度哲学科卒業。戯曲「火」が小山内薫に認められ、師事する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
14
人が如何にして、どんな超越者から火を授かったかという神話を世界各地から収集した本。プロメテウスを例に挙げるまでもなく人類が火を獲得する神話にはどこかネガテイブな要素が滲んでいる。身近すぎて忘れがちだけれど火というのはなかなか人間には制御仕切れない荒ぶる力なのが理由なのかな。とてもありがたい。しかし死ぬほど恐ろしい力を手に入れる過程がそんなに平穏なわけがない。何かを手に入れることへの後ろめたさ。力を得ることへの後ろめたさを感じる。2017/05/05
あかつや
5
タイトルの通り、人がいかにして火を手に入れたかという神話が大量に収録されている。近隣部族間の同モチーフの神話に見られるズレが面白い。例えば、未だ人類が火を知らない世界で誰かが隣の島から登る煙を発見する。そこでAおいあそこには火があるぞ行って奪ってこようBはてあれはなんだろう行って確かめよう、という風に違いが出る。この場合AよりもBの方が論理的だ。おそらくA→Bという順に成立したのだろうが、この間に徐々に変化していったのか、それとも天才的な語り手が登場して物語に変革を起こしたのか、なんて想像するのが楽しい。2018/07/01
春色
2
内容自体は興味深いのだが、延々と似た話を読まされるのは辛い。一番最後の章である「要約と結論」を先に読み、興味をそそられた部分だけを拾い読みするのが賢いのやも。2011/05/30
hiruhan
1
いろいろな火を得る手段もおもしろかったけど、自分は、火を盗まれた側が簡単に雨を降らせたり、風を起せたりするのが印象に残った。原初0の存在は、それが動物であれ人間であれ、簡単に自然現象を起せるってことなんだろうな。2012/03/03
だちょう
0
筒井康隆のダンシング・ヴァニティ、神話バージョンみたいな感じ2015/03/04