内容説明
日本の中世・近世において「王」は、どのように感じられてきたのか。多くの絵画史料からその権力の歴史をひもとく。『後醍醐天皇像』中の冠・着物・道具から、後醍醐天皇が天子たることを強調しながら真言密教の菩薩像に似せて描かれていることを解き明かす。『江戸図屏風』に描かれた駿河大納言徳川忠長の屋敷門前の猿まわしの姿は、その後自刃する忠長の行く末を暗示していると考察する。天皇・将軍の肖像画から権威の表徴を明らかにし、風俗画に大名のお家事情を探る過程を、詳細に論述。先入観にとらわれず仔細に図像を分析し、興味深い史実を丹念に掘り起こした一冊。
目次
序 “王”の身体/“王”の肖像
第1部 こもる・つつむ・かくす―“王”の身体をめぐって
第2部 将軍の御代と祭り(誰が、何時頃、江戸図屏風をつくったのか?;天下祭り絵巻の世界―竜ケ崎市歴史民俗資料館所蔵「神田明神祭礼絵巻」)
第3部 中世・近世の“王”と肖像画(肖像画と王権―肖像画から歴史を読むために;神と人と―「若狭国鎮守神人絵系図」を読む;九人の貴種の僧侶は誰か―史料としての肖像画の分析;肖像画としての後醍醐天皇;近世の天皇と将軍の肖像画)
著者等紹介
黒田日出男[クロダヒデオ]
1943年、東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学史料編纂所に勤務し、教授・所長・画像史料解析センター長などを歴任。現在、東京大学名誉教授・立正大学教授・群馬県立歴史博物館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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