内容説明
「異人」の身体は、江戸時代の日本人にとって「思想の黒船」だった。人々は旺盛な好奇心をフル回転させて「異人」を見、イメージを膨らませ、描き残した。長崎出島のオランダ商館長がみな異様に太って描かれているのはなぜか。シーボルトの肖像画の余白からこちらを見つめる大きな目は何を表していたのか。「心臓」を見せる解剖術が大流行した世相の背景に何があったのか。鎖国といわれた時代を舞台に、「異人」=「他者」の身体との出会いと、彼らが携えてきた科学・技術の衝撃が、日本人に何をもたらしたのかを、江戸学の鬼才が抱腹絶倒のエピソードを重ねて語る、異色の美術史。
目次
第1章 さまざまな異人たち(日本のなかの土着的なもの、異なるもの;異なる人々、異なる場所;「異」族と共存する;世界が一枚岩になっていく;半魚人、絵、理解;異人たちがやって来る)
第2章 身体ヴィジョン(「夷」と「蛮」と;見られる身体;身体の大きさと体型;異人を見る―江戸参府;身体各部位のこと;女性の身体;死せる身体)
第3章 身体外部をめぐるさまざまな関係(衣服;阿蘭陀「風俗」;ひそかな関係;江戸の「ハーフ」;ホモソーシャル)
第4章 身体内部(食と文化;飲む文化;会食のこと;食卓道具と食肉;解剖術と外科術;解剖というレトリック)
第5章 身体のメタファー(万人向け解剖学;江戸のマダム・タッソー;紙上解剖;解剖術と表/裏;機械のメタファー;ハートが見たい)
著者等紹介
スクリーチ,タイモン[スクリーチ,タイモン][Screech,Timon]
1961年英国生まれ。オックスフォード大学オリエンタル・スタディズ科卒。ハーヴァード大学大学院美術史学博士号取得。現在ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院教授。ヴィジュアル・カルチャー研究の方法を導入し江戸学に新局面を開いた
高山宏[タカヤマヒロシ]
1947年生まれ。英文学者、翻訳家、美術・表現芸術評論家。首都大学東京教授。17、18世紀を中心とする英文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三柴ゆよし
壱萬参仟縁
小鈴
monado
MM