内容説明
文政期の日本で、多くの門人を育て、医学の発展に大きな足跡を残したシーボルト。彼はまた、植物学に造詣の深い博物学者でもあった。日本の植物を初めてヨーロッパに紹介したシーボルトの『日本植物誌』は、植物学的にも、民俗学や文化史の観点からも、またボタニカルアート(植物画)としても、今も高く評価される貴重な資料である。そこには、当時シーボルト本人が目にしたさまざまな日本の植物の姿と特徴を描いた、美しい彩色図版150点が収められている。その全点を再現収録、日本の植物についてのシーボルトの覚書きや最新の研究知見を踏まえた書き下ろし解説を付す。
目次
シキミ
シイ
レンギョウ
オキナグサ
シュウメイギク(別名キブネギク)
ウツギ
マルバウツギ
ヒメウツギ
ツクシシャクナゲ
キリ〔
著者等紹介
シーボルト,P.F.B.フォン[シーボルト,P.F.B.フォン][Siebold,Philipp Franz Balthasar von]
1796‐1866年。ドイツ出身の医学者・博物学者。1823(文政6)年に、長崎のオランダ商館の医師として着任。日本の動植物・地理・歴史・言語などを研究。私塾「鳴滝塾」を開いて実地に診療しつつ医術を伝授した。29年離日
大場秀章[オオバヒデアキ]
1943年東京生まれ。東京大学名誉教授、同大学総合研究博物館特任研究員、植物多様性・文化研究室代表。理学博士。植物分類学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ryoichi Ito
5
幕末(1823-1829)に来日したシーボルト(1796-1866)と植物学者ツッカリーニの共著。1835年からシーボルト没後の1870年までかけて分冊で刊行された。本書で学名登録された植物も多い。美しい彩色図版150点が収められている。図はドイツの画家が描いたものだが日本の画家・川原慶賀らの下絵をもとにしており,植物学的にもボタニカルアートとしても貴重なものだ。本書では各図版に大場秀章の解説がついており植物図鑑としても役に立つ。文庫版であるために図が小さいのが残念。 2019/10/16
SKH
4
シーボルトの目を通して見た江戸末期の姿。2013/07/07
ペロ
3
朝井まかて作「先生のお庭番」を読み,シーボルトの植物図鑑の復刻版を購入。当時のボタニカルアートに東大の先生の解説がついてる素敵な図鑑だ。この図鑑の完成を支えたのが「先生のお庭番」に登場した人々だと思うと感慨深い。一番見たかったのはアジサイのページ。やっぱり学名は妻お滝さんの名前だった。感激!先生は帰国後も彼女を想い続けていたのだ。それと後で読メ会員さんの情報で知ったのだがお庭番の熊吉は実在の人物だったのだ。熊吉はこの図鑑を目にする機会があったのだろうか?見たと信じたいのだが... 2015/10/08
みそさざえ
2
「先生のお庭番」はフィクションであろうが、シーボルトの学問への情熱や日本への傾倒は、真実であり、シーボルト事件によって、すべてが虚とされるのは、違うのではないかという気持ちになった。本当にアジサイがたくさんあった2014/11/26
いちはじめ
1
図版がきれいなので見ていて楽しい。しかし、自分の日本植物の知識はシーボルトに遥か及ばないというのがなんとも……2008/03/01