内容説明
出題に正解するだけでなく、その解法が「エレガント」であることを求む!新聞連載の読者参加型コラムは、小学生から年配者まで幅広い数学ファンの人気を集めた。「数学や科学にエレガントは似合わない」と思われていた時代に、それを講演で、著書で、熱心に語りかけた人気数学者の上質な数学エッセイ。本書タイトルの「エレガントな解答」のほか、プリンストン高等研究所で薫陶を受けた師を回想しながら、その理論の美しさを数学的に解説する「アインシュタインと相対性理論」、また相対性理論への足慣らしにもなる射影幾何学のやさしい講義「パスカルの定理」などを収録。
目次
エレガントな解答
趣味の数学(パピルスの分数;ピラミッドと円周率;非ユークリッド幾何 ほか)
パスカルの定理(ブレーズ・パスカル;パスカルの定理;初等幾何学的な証明 ほか)
アインシュタインと相対性理論(直線上の点の座標;ガリレイ・ニュートンの相対性原理;特殊相対性理論の基本的仮定 ほか)
現代の数学
著者等紹介
矢野健太郎[ヤノケンタロウ]
1912‐1993。東京生まれ。東京大学理学部数学科卒業。東京工業大学名誉教授。プリンストン高等研究所留学中に、アインシュタインの薫陶を受ける。専攻は微分幾何学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
105
なつかしい数学での名前を見つけて読んでみました。私の高校時代の大学受験の「解放のテクニック」シリーズは幾冊か愛読したものです。非常にレベルが高かった覚えがあります。この本は新聞や専門誌に連載されたものをまとめたようである意味数学エッセイ集なのでしょう。ただ表題以外の箇所はかなり手ごたえがあるような気がしました。私は結構数学関連の本を読み直しているのですが、このような本を読んでくれる人が増えるといいですね。2023/09/15
NагΑ Насy
7
半世紀前の東大の日曜講座、射影幾何学によるパスカルの定理の証明。再読してあとがきにあった、テザルグの定理は2次元と3次元以上では異なる意味を持つということの意味がわかる。3次元以上で一般に成りたつテザルグの定理が2次元でも成り立つことが、考えている平面と空間が同じ性質であるという、あたりまえすぎて意識されないことを保証する要件なのだと。2014/05/28
NагΑ Насy
6
1950年代の朝日新聞掲載のエレガントな解答9回+1回。射影幾何学によるパスカルの定理の証明。アインシュタイン追悼の相対性理論解説、他。著者は数学セミナー創刊に関わったのだとか。2014/01/20
dskmori
3
一見エレガントだけど、もう少し吟味が必要では?と思われるものがいくつか。紙面の都合かもしれないけど。幾何学を文章だけで追うのはつらかったから、パスカルの定理はとばした。2014/06/06
のぶさん
2
最初の、エレガントな解答シリーズは面白かったが、パスカルの定理の証明と現代の数学は難解。ただ、相対性原理、ローレンツ変換を一次元の世界で説明するところは、目から鱗。分かりやすかった。2018/02/04