内容説明
空き地や路傍でよく見かける雑草は、花壇や畑では厄介者。けれども、その可憐な花には四季の風情を感じさせる愛らしさが漂っている。春の悦びを告げるナズナ、初夏に白い花が清々しいドクダミ、万葉の歌人も愛した秋の七草オミナエシ。食べたら美味しいもの、すぐれた薬効を発揮するものもある。本書では、60の草花の特性と来歴を解説。練達の園芸家が庭の片すみで植物を見つめ、そのたくましさと生命の神秘に惜しみない賞賛を捧げる。美しい水彩画もお楽しみあれ。
目次
第1章 春(ナズナ;ホウコグサ;ハコベ ほか)
第2章 夏(クサノオウ;タケニグサ;ムラサキケマン ほか)
第3章 秋(ヨモギ;アワコガネギク;セイタカアワダチソウ ほか)
著者等紹介
柳宗民[ヤナギムネタミ]
園芸研究家。1927‐2006年。民芸運動の創始者・柳宗悦の四男として京都市に生まれる。旧制暁星中学校卒業。栃木県農業試験場助手、東京農業大学育種学研究所研究員などを経て独立。柳育種花園を経営するかたわら、執筆やテレビ・ラジオで活躍
三品隆司[ミシナタカシ]
1953年生まれ。科学ライター、イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
30
読友さんのレビューを見て読みたくなりました。ナズナ、クサノオウ、ヨモギなど身近にある雑草の生態や名前の由来など、知らないことが多く面白かったです。最近、子供に道ばたで咲いている花の名前を聞かれて答えられないことがあったのですが、その名前も判明しました!梅雨時期は抜いても抜いても庭が草だらけになってしまいますが、生えている草の名前がわかり、草むしりも楽しくできそうです。2016/06/22
Sakie
18
著者は園芸研究家、柳宗悦の四男にあたる。古来歌集に詠われる七草をはじめ、日本にごく日常に見る雑草を紹介している。葉や花の写真を撮ると名前を教えてくれるアプリを最近は重宝しているが、この本ほど魅力を知ることはできない。この本が断然良い。生える草を、私は好き嫌いして抜いたり抜かなかったりする。しかし次からはもう抜けないなと思った草花がたくさんある。オミナエシ、オトコエシはもはや植えたいし、ヨウシュヤマゴボウすら育ててみたくなる。外来種も渡来して何十年も経てば日本の風景の一部だ。ほやけど、メヒシバだけはいかん。2024/11/25
雪の行者山@加療リハビリ中
5
ずいぶんためになる部分もあるけれど、たとえば「せり、なずな、ごぎょう、はこべら・・・」は間違いであると。『ごぎょう』ではなく『おぎょう』が正しいと。しかし『おぎょう』とは何か、なぜ『ごぎょう』と間違えたのかは語られない。文句をつけようにも柳先生はすでに鬼籍に入られている。学名やヨーロッパの話よりもう少し日本お話を深めていただきたかった、というのが正直なところ。ただ基本的に面白い話が多いので続巻も購入のつもり。が、最終的には同じちくま学芸文庫の御大牧野富太郎の三冊も買わなければなるまい。2016/04/30
kimrahimovic
2
柳宗悦の息子さん(と言ってももうお亡くなりになっているが)園芸家で、NHK「趣味の園芸」講師を長年務めていたとは知らなかった。雑草のチョイスがいちいち良くて、なかなか本を置くことが出来ない。さらには解説やエピソードにも嫌味がなく、何より文章がきれいで絶品。 今ご存命なら、近年のナガミヒナゲシの爆発的な繁殖にはどうコメントしていただろうか。2021/05/10
gichoku
1
金沢の21世紀美術館で、勢いで買った本。芸術に触れた後って、どうしてあんなに自分の感性を磨こうとか思ってしまうんだろう。 でも今まで「草」とか「憎きツル」とか呼んでいたものが、メヒシバとかヤブカラシとかカラスノエンドウとか名前を知って身近に感じられるようになった。相変わらず草刈機で薙ぎ倒される対象だし、抜いても抜いても生えてくる憎きツルであることは変わらないのに、正式な名前で呼んでやれると、しょうがないなぁ、とちょっとおおらかに感じられるから不思議。2017/09/01