内容説明
「哲学のいとなみとはなんだろう」との問いかけに著者は、「ふるい概念たちのために、あたらしい舞台をつくりだしてやること」と答える。哲学素とも呼ばれる哲学概念は古代ギリシア以来膨大に蓄積され、それぞれの時代の光を反射させ普遍化されつつ現代にまでつながっている。哲学素は普遍でありながらけっして固定的なものではない。それらは突如眠りから覚め、時代の意味をになって新たな冒険の旅に出るのだ。本書は、今日もっとも輝きにみちた100の哲学概念を選び出し、われわれにとって哲学を生きるとはどういうことかを、しなやかに分かりやすく解説する。
目次
遊び
熱いと冷たい
アナロジー
アレゴリー
アンビヴァレンス
異化
意識
イデア
イデオロギー
因果関係〔ほか〕
著者等紹介
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退。哲学者・翻訳家。インターネットで哲学リソースサイト“ポリロゴス”を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ichiro-k
9
確かに「辞典」!(辞典のわりには体系的になっちゃいない)活字中毒者には、ビジュアル的に活字がギッシリ詰っていて感動モンかも。読了に時間が掛かったのは、内容が自分の理解不能のバカ頭ということもあったが、どこぞの高名なお人がどうう考えたかなんてことばかりで、著者の考え方は読み取れず。読了したスッキリ感のみ。あ~ぁシンド!2011/04/15
pinoo
7
少し難しい本を読み始めた人(僕の事です)にありがちな事だが「表象」とか「狂気」とか「意識」とか、日常語にもなっているがためにそれらの語に大して気を留めず本を読み進めてしまい、読めてしまう場合もあるがキーワードを適当に扱ったために後々酷い混乱に陥ることも結構ある。本書は、主に哲学や思想において、1つの語が恐ろしく多くの意味や錯綜した議論を持つこともあるのだということを教えてくれた。僕は読書中にひっかかる言葉があると、まずコトバンクと本書でどう書かれてるか見ることにしている。そして本書単体でも充分面白い。2017/01/25
ソラヲ
6
同著者による『高校生のための評論文キーワード100』(ちくま新書)と同様、五十音順に思想・哲学のターム(哲学素)を読み解いていく一冊だが、軽妙な語り口に対して内容はかなり高度だと感じた。というのは、この本は「哲学の普遍性」「欲望と他者」という二つのテーマを主軸に進んでいくのだが、哲学が営まれた彼の地から遠く離れたところで生きる我々がそれらの問題を問題として認識するには哲学史を踏まえる必要があるからだ。特に前者に関して、歴史・言語・宗教・文学と同じく思想と向き合う際にも異文化理解の姿勢が要なのだと痛感した。2016/09/13
真夜
4
実家にあるのに気がつかず二冊買ってしまった……。あくまで参考というか、思索を深めるために読むものではなく、あるトピックについて考えているときに参照し、巻末の索引で別トピックとの関連を知り……。という使い方をしました。一からよもうとする本ではないかも。2015/01/09
kapo54
3
『高校生のための評論文キーワード100』の姉妹編にあたる本。100の概念をそれぞれ5ページ程度で解説している。現代思想の概念が多い。「思想」の知識を身に付けるための本ではなく、読者を「思考」へといざなうような本なのでとても楽しい。今年読んだ中ではベストの一冊。高校生のときに『評論文キーワード』を読んだことが、私が哲学に興味をもったきっかけになっている。著者とは好みが合うようだ。これを読んでバタイユに興味が湧いた。2014/08/28