ちくま学芸文庫
聖王ルイ―西欧十字軍とモンゴル帝国

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  • サイズ 文庫判/ページ数 493p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090263
  • NDC分類 288.493
  • Cコード C0122

内容説明

「聖王」と慕われ、パリのサン・ルイ島や、ミズーリ州都セント・ルイスなどにその名をとどめる13世紀フランス王ルイ9世の事跡を伝えるフランス中世史の第一級史料。王の忠実な家臣であり、王による第七回十字軍遠征に随伴したジャン・ド・ジョワンヴィルが、王の死後40年近くを経て記憶を辿り心情を傾けて詳細に記述した本書は、フランス文学史上代表的な回想録でもある。当時、ユーラシアから地中海一帯にかけては、モンゴル、イスラム、十字軍の勢力が、版図拡大・聖地奪還の意欲に燃え激突する多極的世界が展開していた。領土保全と、信仰への熱い思いに駆られ、押し寄せる時代の荒波のなかを高潔に生き抜いた稀代の王の姿を描く伝記的ロマン。

目次

序篇 王の人間像(本書の構成。王の人間像と行状記;窮地におけるリーダー魂;忍耐、誠実、質素、自主判断;上に立つ者の謙譲 ほか)
本篇 ルイ王行状記(英王、国内諸侯との領土争い;エジプト遠征;パレスチナで;帰国後のルイ。第八回十字軍)
時代と背景

著者等紹介

伊藤敏樹[イトウトシキ]
1941年生まれ。東京外国語大学フランス語学科卒業。名古屋大学大学院修士課程修了。ソルボンヌ大学大学院にて第三期博士号取得。パリ大学東洋語学部日本語講師などを経て、日本大学教授。文学博士。専攻はフランス中世歴史文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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刳森伸一

3
敬虔な行動と十字軍を組織して異教徒と戦ったことなどから聖王の名が冠されたルイ9世の言動を、実際にルイ9世に仕えたジャン・ド・ジョワンヴィルが認めた伝記。当然のことながらルイ9世を絶賛しており、その内容を鵜呑みにすることはできないが、その事績の一次資料を読めるのは僥倖といえる。2021/09/28

まり

2
ルイ9世の家臣で第七回十字軍に追従した、ジャン・ド・ジョワンヴィルがフランス王妃からの命で書いた。 そのはずなのに、冒頭から ルイ9世は今まで4回ほど死の危険に晒され、そのうちの一つは船上で下痢が酷くて下着の尻のところを切りました。 とはじまり、とても面白かった。本当に王族からの依頼で書き始めたんか? 他にも貧者の足を洗いにいくが共に行くか?と聖王に問いかけられて、教訓になる良い話に終わるのかな?と思わせて、著者は行かないです。とバッサリ断るのも面白かった。

hajimemasite

2
聖王ルイに関する著作としては、名著の部類に入る、故ジャック・ル・ゴフによる同名作品『聖王ルイ』が存在するが、向こうと違い、こちらは、聖王ルイに仕えたジャン・ド・ジョワンヴィルによる聖王ルイの伝記に解説を加えた、あくまでも一次資料である。よって、聖王ルイに本書は聖王ルイに対する賛辞に満ちており、聖王ルイについて知りたいのであれば、この作品は向いていない。しかし、この作品の真髄は資料としてのものであり、十三世紀世界の軍事的資料を日本語で読めるのは、非常に価値が高い。2014/10/28

鐵太郎

0
聖王ルイとは、フランス国王であったルイ9世(1214/4/25~1270/8/25 在位1226/11/29~1270/8/25)のことです。王でありながら聖人として聖別されたこの人物については、過去にいろいろな評価がありました。この本は、この王が第7回十字軍に参戦したとき、その側近として身近にいた作者・ジャン・ド・ジョワンヴィル(フランス王国最大の封建領主シャンパーニュ伯の大家老(セネシャル sénéchal))が、老いてから王の生涯・人となり・功績を書きしるしたものです。意外に(?)面白い。2007/12/07

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