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ちくま学芸文庫
ニーチェと悪循環

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  • サイズ 文庫判/ページ数 537p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088796
  • NDC分類 134.9
  • Cコード C0110

内容説明

妻の肉体を次々と客人に提供するという衝撃的な小説三部作『歓待の掟』(1953‐60年)で欲動の共同体を望見したクロソウスキーが、フランスにおける有力なニーチェの翻訳者・研究家の一人として68年5月直後のフランス思想界に投じた、驚嘆すべきニーチェ論。人格の同一性の下にざわめく言語以前の無数の欲動、すなわち強度の解放という本書の提示した光によって、ニーチェの悲劇的生と思想はまったくあらたな相貌を明らかにする。大小の断片を積み重ね、自在な引用をつむいでゆく、それ自体破天荒で啓示的な反‐論述は、21世紀の今も誇らしく異端的な地位を失っていない。優れた翻訳による、みずみずしく真に独創的なニーチェ論の蘇り。

目次

文化との闘い
欲動の記号論の起源としての病的諸状態
永劫回帰の体験
頽廃、躍動、集団、個別的ケース―四つの基準の起源としての病的諸状態
永劫回帰の科学的説明の試み
選別の教説としての悪循環・永劫回帰の政治的ヴァージョン・悪循環の陰謀
父の亡霊との対面
病者によるもっとも美しき発明
トリノの陶酔
ニーチェの記号論に関する付記

著者等紹介

クロソウスキー,ピエール[クロソウスキー,ピエール][Klossowski,Pierre]
1905‐2001年。パリ生れ。若くしてジッドらに知られ、30年代にはバタイユやカイヨワらの先鋭なグループに参加。戦後は独自の執筆活動を展開

兼子正勝[カネコマサカツ]
1953年生れ。東京大学文学部博士課程中退。パリ大学文学博士。現在、電気通信大学教授。フランス文学・思想専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

29
ニーチェの永劫回帰を、偶然的な存在である個別的ケースの一つ一つを全て踏破していくことにより必然に変え、また自己自身へと戻ってくるというふうに、本書では解釈しているように感じた。そこから逆に輪廻転生を照らしてみると、あらゆる生命に生まれ変わるという点に永劫回帰的な偶然と必然の絡みがみられ、そしてその輪廻の輪から抜け出すことに悟り(目標・意味)を見出だす一種の好循環に対して、目標や意味の手前を見つめる永劫回帰は、やはり悪循環としてあるのだろう。2017/03/09

34

9
ニーチェについて書かれた唯一「ニーチェ的」な本。2020/05/10

なっぢ@断捨離実行中

6
ドゥルーズに捧げられた特異なニーチェ論。ニーチェ最後の10年の謎を解くべく、書簡を中心に読み解いていく手法は正統的な哲学者のそれではないが、訳者があとがきで断っているように、本書のキー概念『シミュラークル』『強度』を中心に読むとD=G以降のドゥルーズやボードリヤールの議論に尽きるように思われ、正真正銘の『読み殺し』になってしまう。「これは類まれな無知を示す書物」なのであって、もとより正解など存在しない。各々が最高のニーチェを掴み取ればいい。その場合、本書がアリアドネの糸となり得るかもしれない。2017/08/07

ULTRA LUCKY SEVEN

3
ドゥルーズが大絶賛したらしいけど、正直「フランス流解釈」に留まると思う。ニーチェ自身の方が手っ取り早い。バタイユの解釈が一番本人に近い。2012/03/02

 

2
再読。これをまんまサンプリングしたドゥルーズよりもいい。早い話がドゥルーズ は差異のひしめきとしてニーチェを捉え返そうとするので、結論ありき。逆にクロソウスキーはニーチェが紡いだ強度のセリーをひとつひとつたどり直し、それに触発されて書いていく過程においてその結論に辿り着いている。この差(異)は重要だろう。ドゥルーズ はお上品すぎる、学者様なのだ。クロウスキーのこのいかがわしさ、「陰謀」のスペクタクルとしてニーチェを読むのがおそらく正しい。2023/12/26

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