ちくま学芸文庫
暗黒日記〈1〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 462p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480087119
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

内容説明

昭和17年12月、評論家・清沢洌はある決意をもって日記を書きはじめた。のちに『暗黒日記』の名で知られるようになるこの日記は、戦後に外交史を書くための資料とすることを企図して、戦時下の政治や社会にあらわれた種々の病理現象に対する観察や批判を詳細に記したものであった。彼が痛烈に批判した現象の多くは、日本社会が長く培ってきた病理的傾向の最も凝縮された姿であり、その批判は、現在の日本を考えるに際してもきわめて示唆に富んでいる。優れたリベラリストがのこした後世への遺言ともいうべき貴重な記録。第1巻には17年12月から18年12月までを収録(全3巻)。

著者等紹介

清沢洌[キヨサワキヨシ]
明治23(1890)‐昭和20(1945)年。長野県生まれ。小学校卒業後、内村鑑三門下の井口喜源治が創立した研成義塾に入り、感化を受ける。明治39年渡米、働きながらハイスクールを卒業。カレッジ在学中から邦字新聞の記者として活躍。大正9年、帰国して中外商業新報社に入社、のちに通報(外報)部長となる。昭和2年、東京朝日新聞社入社。同4年退社、フリーランスの文筆家となり次々と著書を発表、自主独立の評論家・外交史研究家として矜持を貫く。同20年5月、急性肺炎のため急逝
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感想・レビュー

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masabi

12
【概要】評論家清沢の戦時下の日本を描いた日記。1巻。【感想】1943年12月まで。主要新聞に勇ましい論調の戦意高揚を図る記事と併せて要所の陥落を伝える記事が載る。新聞やラジオがこぞって国力差を精神論で埋め合わせる趣旨を流し、民衆は素より知識人にしても戦争に楽観的で時代の空気を味わえる。配給制や統制の影響で物不足による窃盗が頻発し治安やモラルの低下が窺える。増産の責任者や規則だけを創設し、それ以外の方策を取れないあたりに思うものがある。 2021/08/22

勝浩1958

6
備忘録「明日で東条内閣二周年を迎える。この内閣に対する批判は、後の歴史家がなそう。しかし、これくらい知識と見識に欠けた内閣は世界において類例がなかろう。」始まってしまった戦争を止めるのは、全政治家がおのれの命を賭けてでも止めなければ不可能なんだろう。現在の日本に命を賭ける位の気概を持った政治家はいるだろうか。経済一流、政治は二流と囃されたことがあったが、いまは経済二流以下、政治は評価に値しないと言いたい。2022/01/15

Hideki Ando

3
今,この時期だからこそ必読の本だと思う。戦後,本来最も力を発揮すべき前に逝去してしまった点が悔やまれる。今の時代をみたらどう思うだろうか。2018/03/18

父帰る

2
清沢氏の暗黒日記三部作の一つである。戦時中の時代批評と戦後に繋げる為の記録である。著者自身は日本の学校教育をほとんど受けず、独学を貫いた。渡米後、研鑽を積み、帰国して外交批評家として時代の証人となる。日本の教育のあり方と指導者の問題点を指摘。戦争期を狂気の時代として認識。日記を綴りながら、戦後を見据えていた、その見識の高さには驚かされる。終戦見ぬままこの世を去った。彼は一方、大変な愛国者で、死ぬまで皇室の安泰と国家の安寧を願った。2014/12/07

ELW

0
 さんざん参考文献で目にしていたのをようやく読み始めた。 まぁ、『敗北を抱きしめて』や『昨日の世界』を読んでいる からショックは少ないが、物資不足で盗難が多いことが目に ついて、最近の褒められている日本ってどうなんだろうと感 じた。あとは、「殺、殺、殺、殺尽倭奴、死、死、死、死得 其所」はきつかった。『断腸亭日乗』にも取り組まねば。2017/06/12

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