内容説明
神はどのようにして発見され、語られ、利用されてきたのか。古今東西の文学・思想の森に分け入って、その本質的要素を抽出した高橋神話論の集成。第1巻は、畏れやおののき、精神の顫動をはげしく惹きおこす「神を見る」行為を「観」(テオリア)として探る一方、「死」の変種・比喩である「隠れ」や「消滅」をキリスト教世界、日本神話世界から考え、本質的な生死を問う。また、アポロンやデュオニュソスなど、気紛れ、過激さ、無軌道を示すギリシアの神々の「形相」(エイドス)を辿り、神話や神々が後のさまざまな時代にいかなる「生」(ビオス)を発現させ、いかなるロゴスを結晶させたかを明らかにする。
目次
1 「見」から「観」へ(見ることと神;見つつ畏れよ―神の眼とリアリズムの眼 ほか)
2 死と再生(死と再生の古代;最初の死について ほか)
3 ディオニュソスをめぐって(ミュトスとビオス―神話原型的アプローチ;ニケの翼 ほか)
4 ロゴス、そして言葉(『パイドン』雑感―プラトン;四大について―ゲーテ『ファウスト』 ほか)
著者等紹介
高橋英夫[タカハシヒデオ]
1930年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。文芸評論家。主要著書に、『批評の精神』(中央公論社、亀井勝一郎賞受賞)、『役割としての神』(新潮社、芸術選奨受賞)、『偉大なる暗闇』(新潮社、平林たい子賞受賞)など
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