内容説明
幻術、手品、軽業、南京あやつり、珍禽獣、蛇遣い、細工物…奔放な好奇心とエネルギーに満ち、猥雑でグロテスク、ケレンたっぷりでときに残虐でさえある見世物の数々に、江戸の人々は夢中になった。大都市の消費的・享楽的な文化風俗であったがために、のちに近代化とアカデミズムの確立のなかで研究の場から排除された見世物文化について、本書はその全体像を歴史的にとらえた総合研究書の嚆矢であり、ながく孤高の名著とされてきた。近年盛んになりつつある見世物・大衆芸能史研究の基礎資料としても注目される幻の書。
目次
伎術篇(幻術;放下;手品 ほか)
天然奇物篇(珍禽獣;禽獣の曲芸 ほか)
細工篇(初期の上;初期の下;中期の上 ほか)
著者等紹介
朝倉無声[アサクラムセイ]
明治10(1877)‐昭和2(1927)年。本名、朝倉亀三。早稲田大学で国文学を修めた後、帝国図書館司書となり、近世の文芸・風俗研究を専攻、職を辞したのち著述に専念した。宮武外骨のあとをうけて雑誌『此花』にかかわり、つづいて『風俗図説』を主宰、江戸の風俗、とくに見世物についての研究を発表した。没後に出版された『見世物研究』は研究の集大成であり、現在にいたるまで見世物に関する貴重な総合研究書として高い評価を得ている
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