内容説明
感動するのは「心」か「脳」か。魂はなぜ生じたのか。「死ぬ瞬間」はあるのか。脳死とはどういうことか。死体が不気味なのはなぜか。身体は空の器か。墓とは何か。魑魅魍魎の正体は?宗教と科学と信仰の関係は?脳の問題は、機能すなわち心として見れば経典に戻り、構造すなわち脳として見れば自然科学に戻る。―宗教とヒト、とくに脳と宗教との関係を軸に、『唯脳論』の考えを多くの主題に応用して展開し、従来の宗教観を一変させる養老「ヒト学」の最高傑作。
目次
1 臨床宗教(宗教体験と脳;「鰯の頭」と合理性 ほか)
2 「死」の解剖学(死ぬという瞬間はない;脳の死とはどういう現象か ほか)
3 霊魂の解剖学(現代の魑魅魍魎;霊魂の「根性」 ほか)
4 臨床仏教(経典の解剖学;浄土の見方 ほか)
5 隠された身体(禅の身体論;身体という禁忌 ほか)
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、神奈川県鎌倉市に生まれる。1962年、東京大学医学部卒業。卒業後解剖学教室に入り、その後東京大学医学部教授。1995年、退官。東京大学名誉教授。北里大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
31
養老先生若き日の著作でして、若さゆえのとんがり具合から、分からなきゃ読まんで結構、な感じもちらほらと。ええ、ワタクシ分からんところ多いですが、しかしわかるところは抜群に面白くて、ちょっとものを見る目が変わります。人の脳は種の存続以外のことまでも思考できるまでに発達して、すこしものをずらしてみることができるようになり、それはアナロジー的思考が可能になり、ほとんどのものをシンボル化できるまでになった。それらは宗教を生み、死体を不気味と思わせる……。さあ、皆さん読んで私にアナロジーを用いて説明してください。2018/12/17
月をみるもの
12
多分この本が単行本で出た頃に大学院の集中講義で話を聞いた。普段から死体ばっか見てるせいか、なかなかオモロイこと言うオッさんやな、、、とか偉そうなことを思っていた自分の若さ・馬鹿さが恐ろしい。。。2019/09/13
ハチ
7
比較的初期の養老本。仏教を下敷きとしながら人や社会などを紐解いていく。 最後2つの章が圧巻。 視覚と聴覚系の対比や関係を量子力学に投げ込むの養老節が炸裂。それをニーチェの作品から引いていたのは初見だったので勉強になった。2023/06/19
本とフルート
4
ときたま文庫の解説などで見かけるお名前で、以前から気になっていた養老孟司さんの本。宗教と人の関係を、人間の脳という視点から考える。普段はあまりにも常識すぎて、意識さえしていない事柄に目を向けさせてくれた。自分の生きる世界でいっぱいになりがちな昨今、俯瞰する立場も忘れないようにしたい。2021/01/09
カネコ
3
○2017/01/13
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- 和書
- 両手にトカレフ