内容説明
ユディシティラの憂悶を慰めるため、賢者マールカンデーヤは、『ラーマーヤナ』(ラーマ王子が、愛妻シーター姫を取り返すため悪鬼の島ランカーに攻め入る話)と『サーヴィトリー物語』(貞節なサーヴィトリーがヤマ“閻魔”から夫を取り戻す話)を語る。十二年間の亡命生活を終え、パーンダヴァ兄弟はマツヤ国のヴィラータ王の宮殿に素性を隠して住む。ビーマがドラウパディーに言い寄るマツヤ国の邪悪な将軍キーチャカを殺害すると、クルの一族はトリガルタ軍と共謀してヴィラータの都を急襲する。しかし、マツヤ国は、女形(おやま)に変装したアルジュナのめざましい活躍により、クル族の軍隊を敗走させる。
目次
第3巻 森林の巻(ヴァナ・パルヴァン)(マールカンデーヤとの会合;ドラウパディーとサティヤバーマーとの対話;牧場視察;鹿の夢;一枡の米;ドラウパディー強奪;耳環の奪取;火鑽棒)
第4巻 ヴィラータ王の巻(ヴィラータ・パルヴァン)(ヴィラータ王;キーチャカ殺し;牛の略奪;アビマニユの結婚)
著者等紹介
上村勝彦[カミムラカツヒコ]
1944年、東京浅草に生まれる。1967年、東京大学文学部卒業。1970年、同大学院人文科学研究科(印度哲学)修士課程修了。サンスクリット詩学専攻。現在、東京大学東洋文化研究所教授
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感想・レビュー
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NAO
51
パーンドゥの全財産を奪ったドゥルヨーダナの貪欲、傲岸さはとどまるところがなく、これでは破滅させられてもしかたないと納得の傍若無人ぶりはまだまだ続く。一方、不死身の鎧の代わりに一発必殺の槍をカルナが手に入れ、以後の戦闘においてアルジュナが倒されるかもしれないというスリリングな展開に。この巻には、『マハーバーラタ』と並ぶ長編叙事詩『ラーマーヤナ』を要約した話と、死神から夫を奪い返したサーヴィトリーの話が含まれる。そうやって、本編の話以外にいくつもの神話が織り込まれているのが面白くもあり、ややこしくもある。2017/12/13
荒野の狼
2
マハーバーラタ全18巻のうち第3巻の後半と第4巻。悲劇のヒーローのカルナが“善き人々から乞われたら与え、自分は乞わない、バラモンには命すら布施する”との高潔な意思のもとにバラモンに変装したインドラに耳環(不死をもたらす)を与えてしまう話は“名誉を失って命を守ることはふさわしくない”とする登場人物の中で最も人気の高いカルナのファンには必読。訳者の上村の判断で冗長な部分は時に章ごと省略されているので全訳ではないが、第3巻の第 257章から276章までの70ページはラーマ物語となっており、ラーマヤーナの要約。2010/10/04
戦狐
2
前半は本筋とはあまり関係ないインド神話の様々な物語が聖仙により語られ、挿話集のようで読みやすかった。また、ラーマーヤナもだいぶ端折り気味ではあるが本巻に収録されている2017/05/23
みづはし
2
いよいよパーンダヴァ達が13年間の隠棲生活を終えます。13年目はヴィラータ王の宮殿に身をやつして暮らします。ドラウパディーが自分に言い寄るキーチャカを殺してくれとビーマに頼みますがその際、ユディシュティラを「ろくでなしの賭博師の兄」と非難していたのが印象的でした。その後、クル軍とトリガルタ軍の間で戦争が起きますが、アルジュナが無双して、ことごとくクル軍の勇姿(ドローナ、ビーシュマ、カルナ、クリパ、ドゥルヨーダナ)を倒します。アシュヴァッターマンは途中でカルナが割り込むので倒した判定が微妙ですw2014/11/28