内容説明
「ユダヤ的ヒューマニズムの底にあるのは『人間』という概念ではない。それは他者である」と語り、「他者のヒューマニズム」を思索し続けた思想家エマニュエル・レヴィナス。リトアニアにユダヤ人として生まれ、ストラスブールで西欧に出会い、現象学に触れた青年時代から始まったその思想の痕跡をたどり、フッサール、ハイデガー等の哲学の受容、ブランショ、メルロ=ポンティ、デリダ、リクール等との関係を通し、レヴィナスの思想の生成の過程をたどる。深いユダヤ体験から、存在論と倫理学のはざまで、暴力、国家、民族、存在について見すえ続けた思想家は何を語ろうとしたか。レヴィナスの全体像を初めて解き明かした記念碑的作品。
目次
第1章 彷徨する端緒(亀裂の自伝;革命の世紀の証人 ほか)
第2章 ディアスポラの困難(差異の遭遇;復興の陥穽 ほか)
第3章 顔―旅する法廷(時効なきシニフィアン;“ある”に憑かれて ほか)
第4章 焼尽のユートピア(書物のトポロジー;分配のアポリア ほか)