内容説明
没後半世紀を過ぎて、いよいよ輝きを増す文学者・太宰治。「二十世紀旗手」をもって任じる過剰な自意識と、その裏側にある拭いがたい劣等感を自ら見据え、関係への不安と孤独の中で苦しみぬくなかから、数々の普遍的な作品を生みだした稀有な作家の鮮烈な生涯。津軽・金木の大地主の家に生まれてから、玉川上水で情死するまでの39年を、写真、草稿、作品の一節、解説などから浮き彫りにする。1998年公開の新資料も満載、太宰のすべてに迫る。
目次
第1章 生い立ち
第2章 恍惚と不安
第3章 混沌と再生
第4章 ナショナリズムのはざまで
第5章 空襲と疎開の時代
第6章 「人間失格」への道
第7章 死とその周辺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロミ
27
再再再読くらい。資料と写真で構成されたハンディな太宰治写真集といった趣だ。太宰の写真集的なものはいくつか持っているがコレがダントツに好き。高校時代の太宰(イケメン)が芥川ポーズしたりいろんなアングルで撮影している写真を見ているとどんな斎藤工が10人いるより萌えてしまう(謎)。でも太宰って角度によって顔がけっこう違うのでたくさんのグラビア(?)から貴女のお気に入りの太宰を見つけてください。直筆が意外と綺麗な字と言うか読める字なので太宰は人に気遣いするタチだったのだろうなーと推察された。ダザイストにはマスト。2015/08/04
月
5
★★★★★(時代〃の写真や新聞記事、遺書(鎌倉心中時)、小説の構想メモ、草稿、自画像など太宰の人生(心)を映し出し胸を打つ。津島家、父母、兄弟、たけ、小中学、弘前高、東京帝大、初代、シメ子、石原家と石原美知子、太田静子、井伏鱒二、友人たちと太宰(写真)。生い立ち、恍惚と不安、混沌と再生、ナショナリズムの狭間、空襲と疎開、人間失格への道、死とその周辺・・各時代の資料に太宰文学が重なる。人間失格の複雑な草稿メモ、如是我聞の怒りの構想メモ・草稿、そして太宰も知らない最後の新聞記事・・重い一冊で泣ける。)2011/01/11
人工知能
4
太宰の写真や校正原稿がたくさん載っていて、太宰ファンにはたまらない1冊。「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」2014/11/29
近江マイコ
2
コレクターアイテム。2014/12/09
じめる
2
解説の安藤宏が言うように、文庫でこれだけ読むことのできる資料本は珍しい。顔が太宰治にとって重要なイメージとして生涯つきまとうようにもみえる。必読。2014/07/05
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- 和書
- 薬になる植物 〈2〉