ちくま学芸文庫
逸脱の日本中世

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480085559
  • NDC分類 210.4
  • Cコード C0121

内容説明

世阿弥が見い出した、憑き物による物狂いと思いゆえの物狂いとは。稚児男色の対象となった華やかな美少年たちの背後にひそむ暗闇とは。白拍子の男装にこめられた、性別を越境し女人結界を突破しようとする中世女性の論理とは。能という中世芸能を素材に、狂気、同性愛、性別越境など、近代的理性からは「逸脱」と映ることがらを通して、中世人の隠された心性を読みとく。文学と歴史をきり結ぶ地点から堀り起こす、異色の中世史。

目次

1 感性の逸脱(中世の狂気・物狂い―能と漂泊する精神;中世寺院の稚児と男色―謡曲「経正」「花月」と同性愛;第六天魔王と解脱房貞慶―謡曲「第六天」と伊勢参宮説話;虫類成仏と中世人の死生観―謡曲「胡蝶」と輪廻転生;中世王権と「亡国の音」―小督説話と音楽)
2 逸脱する女性(白拍子の男装・能の女装―中世芸能民の性別越境;二人づれの女性芸能者―中世遍歴民の世界;大力の女と白拍子―中世東北の武家と血統伝説)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

 本の紙魚

1
「桜川」「小督」等の謡曲を例にあげながら、中世の文化や人々の価値観、時代の変化を分析して参考文献も沢山。男色に遊女に人買いに…ヤバくて妖しくて、だから中世日本は面白い。能「花月」の取ってつけたようなハッピーエンドを実は転売されてただけなんじゃ…とか考え出すと、あの曲もこの曲も怪しく思えてきて色んな解釈ができる芸能だと思う。「松虫」の二人連れは実は女性だったのでは説も、実際の事件の当事者の一人が後鳥羽院と知ると、苛烈な人だったしさもありなんなどと納得しそうになる。狂言の曲のほうももっと取り上げてほしかった。2022/07/05

mustache

0
能には物狂いというジャンルがあるが、能を演ずる人も「狂気」と見られていたとの指摘など、能を素材として中世の狂気や倒錯を論ずる方法に興味を惹かれた。2014/06/24

misui

0
日本中世における狂気・性・死生観・遍歴民など、現代から見れば「逸脱」とも映る事柄を、中世芸能を参考に読み解く。地味だがなかなか面白かった。地味だが。2011/07/05

いちはじめ

0
中世芸能にみられる狂気、同性愛といった、あまり語られることのない部分にスポットを当てた一味違う中世史。2000/06/12

396ay

0
卒論第2章用。狂気の歴史を参照するために。大学図書館より。第1章中世の狂気・物狂いをコピー。2020/11/04

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