内容説明
悪は美になりうるか。強烈な自意識に基づくボードレールのダンディズムは、徹底した反社会的立場をとり、政治・宗教・思想・芸術・風俗・恋愛にいたるまで、その虚偽とタブーを打破する。ありったけの怒りをこめた仮借なき批判と復讎のアフォリズム『火箭』『赤裸の心』、そこにはしかし、苦しみ多き人間に対する愛に満ちたモラリストの顔も浮かび上がる。あわせて65通の書簡と略年譜を収録し、伝記的側面と人柄を照射する。
目次
アフォリズム(愛に関する慰めの箴言抄;若い文学者たちへの忠告;火箭;赤裸の心)
書簡(抄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月
9
群衆の中に在ることの快楽は、数の増加を楽しむ気持の不可思議な表現である。/万物は数である。数が万物の裡にある。数が個の裡にある。陶酔は一個の数である。/天気の良い季節の夕暮の緑の闇。/大都市の宗教的な陶酔。私とは、万人である。万人とは、私である。/音楽は空を穿つ。(火箭)/自我の蒸発と集中について。すべてがそこにある。/音楽は空間の観念を与える。すべての芸術が、多かれ少なかれそうだ。なぜなら芸術は数であり、数は空間の翻訳であるから。(赤裸の心) 書簡集についても詩人を読み解く上で大変勉強になる。 2016/09/21
さく
0
よくわからないことだらけだったが興味を引くものもあった。2017/02/17