内容説明
健康がすぐれず、また、大作「カラマゾフの兄弟」執筆のために長らく中断されていた「作家の日記」だったが、1880年8月にようやく臨時号を出すことができた。ここに掲載された「プーシキン論」は、全世界の人類を結合させようと願っていたドストエフスキーの、プーシキンに仮託した福音の書であった。この号の成功に勢いを得て、翌年からの本格的な再刊を目論んだ並々ならぬ意欲にもかかわらず、1881年1月号の最終校が届けられた翌日、ドストエフスキーは静かに息を引きとった。巻末に、アンリ・トロワイヤほか三人の「作家の日記」について論じた文章、年譜・全巻目次を付す。
感想・レビュー
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lily
87
プーシキン程の才能はシェークスピアやセルバンテスを凌駕するほどの意義があると大絶賛の巻。逆説的にヨーロッパ人にロシア文化の崇高さの承認欲求を求める負け惜しみのくだりは笑った。2021/06/01
brzbb
1
最終巻。ドストエフスキーはヨーロッパで社会主義革命が起こって体制が崩壊することを予感してたけど、それは半分だけ当たった。革命は起こったけどヨーロッパではなくロシアでだった。彼はロシア民衆の中にある聖なる正教の理念が、ヨーロッパひいては全人類を救うと信じていた。ソ連が崩壊しロシア連邦になってもそれは実現していない。それどころ正反対のことが起こっている。帝国主義丸出しの主張には腹も立つけどこの強烈な歴史的皮肉に読んでて悲しくなる。 https://blog.sunaotoko.com/archives/1562023/02/04
astrokt2
0
未レビュー2009/05/30