内容説明
欲望をいだき、意志をもって行動する人間。その行動は思考の一形態である。逆に言えば、思考もまたそれ自体が一つの行動である。「感情」「感動」「情念」「意志」「自我」「人格/性格」などをキーワードにして人間の本性のありかを探る。思考の自立への指針となる、フランス高等学校の代表的教科書。
目次
第1部 行動の心理学(感受性;情動状態;傾向と欲望;意志、自由、習慣;人格と性格;人の世界)
第2部 人間の創造的行動(産業活動;芸術活動)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
5
やっとで読み終えた!!というのが正直なところ。こんな高度で多様な内容の教科書でフランスの高校生は哲学を学ぶのか…と思うと、日本人との知的レベルの圧倒的な差に改めて愕然とする。何せ一応、哲学科の院のマスター卒の僕でも難物と思えてしまうのだから。それにしても、このシリーズ、先にも述べたように、あまりにその内容が多様すぎて、包括的な感想が述べにくいというのが正直なところ。ここまで多くのテーマを扱うのではなく、もう少し、重要なものに絞ったほうがいい気がするのだが。後、『ヴェーユの哲学講義』を読み返したくなった。2025/01/24
うえ
3
長らく、フランスのリセの教科書として知られていたシリーズ。「「美とは見る喜びをつくりだすものである」と、聖トマス・アクィナスは驚くべき正確さをもって述べている。カントのくだした定義のなかの第一定義はもう少し説明的で、「いっさいの利害を離れた満足感の対象を美と呼ぶ」。…アリストテレスは悲劇について語る際に、大きさと結びついた秩序に美が存在するとしている。…聖アウグスティヌスは「秩序のなかにあるものはすべて美しい」と書いている。…ヘーゲルは「美は観念の感性的な現われとして定義される」と述べている。」2025/05/03