内容説明
戦後初の全国的な基地反対運動である内灘闘争。その記憶にアート/展示、音/ノイズ、ルポルタージュ、写真、映画、短歌という文化の視点から光を当てて、「基地問題」と私たちの日常を接続させる回路を作り出す。闘争の記憶に新たな輪郭と可能性を読み解く実践的な成果。
目次
第1章 内灘闘争の記憶と文化表象(内灘基地反対闘争の経緯;内灘闘争と文化表象;闘争の終焉と記憶)
第2章 内灘闘争の「遺産化・文化財化」に抗う―「内灘闘争―風と砂の記憶」展をめぐって(文化を「遺産化・財化」するということ;「内灘闘争―風と砂の記憶」展2018;「内灘闘争―風と砂の記憶」展2021・2022)
第3章 内灘に耳を傾ける技術―風と砂だけではない「戦後史」を聞く(すべての音は原初においてノイズである;一九五三年三月十八日、北陸放送ラジオ『録音 内灘試射場から』;声は歌にあらず、歌は声にあらず;音を分ける政治―宮崎竜成『(●)』に寄せて
事実が音に力を与える
「耳を傾ける技術」
音と生活
戦争の「音の風景」
録音された音であっても音の風景を台無しにはしない)
第4章 砲撃音のルポルタージュ―現在の会、伊達得夫、内灘闘争 星野(ルポルタージュ;伊達得夫とは誰か;内灘―私たちの報告;ルポルタージュの理念;内灘闘争をめぐる報道)
第5章 砂とむしろとカメラ―内灘の土門拳(土門拳『内灘闘争 むしろ旗』;岡本太郎との対談;『じゃんけん陣とり』と『内灘接収反対祈願祭』;内灘の子たちの作文;土門が写した「歴史」とは;『団結小屋での座り込み』)
第6章 『非行少女』に描かれた内灘闘争は敗者を隠蔽する(映画『非行少女』の企画から完成まで;補償金に関するシナリオの変更点)
第7章 短歌での「叙事詩」の可能性―歌集『内灘』の“風”と“砂”の歌に着目して(目的;『内灘』について;『内灘』読解;考察とまとめ)