内容説明
デルフォイの最高神官プルタルコスは、故国の栄光を懐かしみつつローマの平和を享受した“最後のギリシア人”であった。本書は、ギリシア・ローマの英雄たちをいきいきと描き、後世の人びとに広く愛読された古典的史書を読みやすく再編集した決定版である。本書には、「クラックス」「ポンペイウス」「カエサル」「キケロ」「アントニウス」の5編を収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
12
20数年ぶりに再読。英雄に関係する人がたくさん出てきてエピソードも満載なので読むのには苦労した。この巻で面白いのはカエサル、キケロ、アントニウス。有名なシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」はこれらの伝記が元ネタ。アントニウス伝中のクレオパトラとの愛欲にふけるアントニウスは英雄色を好むと言えどもみっともない。プルタルコス先生は本当に容赦がない。アレクサンドロスなどの他の英雄もプルタルコス先生は負の面を容赦なく記述する。それもまたこの英雄伝の魅力だろう。2019/10/17
unpyou
4
伝記文学の超古典。最も著名なローマ人たちの納められてる下巻から着手したものの、いや〜面白く感じられるまでがえらく長かった。当たり前ではあるが現代の読み物とはフォーマットが全く異なる上に、ほぼ「なにウス」だらけの人名の見分けつかなさで相当ワケわからん。それでも3人分くらい読むと「お、とにかく一番盛り上るのは死に際か」みたいな感じで勘所がつかめてきて楽しくなる。カエサル伝よりはキケロ、アントニウスあたりが面白。アントニウスの五代あとの子孫がこないだ皇帝やってたネロでさ〜…的な同時代感はさすがに無比w2015/03/22
ジュンジュン
3
カエサルを中心に、クラッスス、ポンペイウス、アントニウスにキケロを加えた豪華絢爛な下巻。独特の言い回しや文法も苦にならないほどの面白さ。2018/02/19
Hotspur
1
「クラッスス」伊藤貞夫訳、「ポンペイウス」吉村忠典訳、「カエサル」長谷川博隆訳、「キケロ」風間喜代三訳、「アントニウス」秀村欣二訳。2019/06/24
Darbytime
1
カエサル、キケロだけ読了。どっちも上・中巻の人たちより決断に悩む描写があって人間臭い。テセウスは英雄が腕力で解決する神話で、アレクサンドロスは軍団が頑張るもまだ吉凶占いとか神の意志が大きかったけど、カエサルになると欲の渦巻く政治的謀略の力関係というほぼ現実的な世界で、そいうところも対比が感じられた。キケロの伝は、本人が割りとダメだけど、オクタヴィアヌスがやけに格好いい。特に子供にキケロの話をするところ。あと「彼は演説を始めるときはいつでもドキドキしていた」キケロでもそうなら、俺がそうでもしかたない。2019/05/01