内容説明
イギリスの中等学校を卒業し、すぐに就職する労働階級の生徒のなかで、「荒れている」「落ちこぼれ」の少年たち=『野郎ども』。彼らのいだく学校・職業観はいかなるものか?学校はどのような進路指導をしているのか?彼らの形づくる反学校の文化―自律性と創造性の点で、たてまえの文化とはっきり一線を画している独自の文化―を生活誌的な記述によって詳細にたどり、現実を鋭く見抜く洞察力をもちながらも、労働階級の文化が既存の社会体制を再生産してしまう逆説的な仕組みに光をあてる。学校教育と労働が複雑に絡み合う結び目を解きほぐす、先駆的な文化批評の試み。
目次
序章 「落ちこぼれ」の文化
第1章 対抗文化の諸相
第2章 対抗文化の重層構造
第3章 教室から工場へ
第4章 洞察の光
第5章 制約の影
第6章 イデオロギーの役割
第7章 文化と再生産の理論のために
第8章 月曜の朝の憂鬱と希望
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
56
ハマータウンの野郎どもは1970年代当時のティーン。今ではいわゆるオッサンだ。当時からイギリスに顕在化している階級社会が形成されたプロセスを教育→労働へ移行されていくところを明かにしていく。産業革命から習ってきた日本にも似たようなことが今の日本の格差社会を招いていると関連づけると、、、 やはり学び方(ワーク)、働き方(ワーク)を考える時にきてるんですかね。もう日本のオッサンですけど〜。 ちなみに我がティーン時代にはパンクロック聴いていましたね(笑)2020/12/08
おさむ
39
40年以上前のイギリス・バーミンガムの労働者階級の子供たちの調査を通して、階級再生産の実態を検証した名著。興味深いのは、社会的文化的再生産論が言うところの渋々、下層の仕事に就くのではなく、自ら進んで就くということ。そこには反学校文化や、労働階級文化があること。これ、パンクロックやフーリガンにも通底するのかなあ‥‥。名匠、ケン・ローチの映画に出てくる労働者階級の人々の姿が浮かびました。ただ、マル経的な難解でこねくり回した文章表現が多く、正直読みづらかった。2020/10/06
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
20
読友さんのオススメ。読了後、映画「さらば青春の光」のシーンが以前とは全く違う風情で脳内再生されてしまった。学校への反抗と労働への順応が同一線上にあるものとは。ひょっとしてこれって日本のヤンキーも同じかと思ったけど、ヤンキーのように同族親族愛が強いわけではないし。ブルーカラーを自ら選択したと矜恃を持たせるのも資本主義のうまい手かも。一方的に抑圧搾取されてルサンチマンをばら撒いているだけではないところに独自のファッションなどの文化が生まれてくるのだろうなあ。だってカッコいいよね、モッズは(そこかよ。 2022/10/26
fseigojp
19
これから見たら、ビートルズさえ中流階級でした2016/01/10
きいち
17
学校に反抗する子たちの不合理に見える行動・進路選択の合理性と、それが外の労働者たちの論理にしっかりつながっていること、さらにはそれが「敵」である中産階級が支配する現状を変えようとするのではなく強化する方向に向かってしまう過程を、圧倒的な量の観察や聞き取りで浮かび上がらせていくパワフルな本。さすがの古典だ。◇「野郎ども」の、敵の武器であるコトバへの敵対が移民排斥の感情とつながっていることにハッとした。これが育つと、ネトウヨや新大久保で騒ぐ彼らになるのじゃないか?彼らの「合理性」を考えるヒントになりそうだ。2013/05/11
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