内容説明
ヨーロッパ古代世界に最大の版図をもち、多年隆盛を誇ったローマ帝国はなぜ滅びたのか。この「消えることのない、永遠の問い」に対する不朽の解答―18世紀イギリスの歴史家E・ギボンの名筆になる大歴史書の完訳。ユリアヌス帝のペルシア戦争における戦死に始まり、フン族のヨーロッパ侵入に圧されて、ゴート族の移動が起こる。それに立ち向かうテオドシウス帝と勇将スティリコの活躍を描いた手に汗にぎる一巻。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アミアンの和約
20
本巻でローマ帝国が東西に分裂。テオドシウス帝は名君であったが、もはや流れを止めることはできなかった。テオドシウス帝の御代にローマ軍の退廃化が進み、ゲルマンの蛮族に抗しきれなくなっていく。彼らから遠かった東ローマ帝国はともかく、西ローマ帝国はゲルマンの猛攻を真正面に引き受けることとなる。2023/04/10
ロビン
18
4巻。ペルシア遠征の果てのユリアヌス帝死去、キリスト教アタナシウス派を国教化したテオドシウス帝の治世を経て、息子のホノリウスとアルカディウスの時代には、ローマ帝国はとうとう東西に分裂する。テオドシウスから二人の息子の補佐を任された「最後のローマ将軍」スティリコは内外に敵を抱えながら、西ゴートの王アラリックを西ローマの司令官に迎え賠償金を与えるなどして帝国防衛に奮戦するが、これが反発を招き、ホノリウスの家臣らの謀略により殺されてしまう。個人的には、フン族があの匈奴かもしれないという事実にびっくりした。2023/08/27
加納恭史
16
この第四巻はユリアヌス帝のペルシア戦争における戦死から始まる。キリスト教から彼は背教徒と呼ばれた。この帝はローマの伝統の大神官であるが、多神教も認めて信教の自由を進めた。しかし歴史的にフン族のヨーロッパ侵入に圧迫されて、ゴート族の移動が起こる。ゴート族は最初はフン族を避けるためローマ帝国内に避難する。当時ローマは西ローマと東ローマに分割された。ローマの属州の傭兵としてゴート族は雇われていた。やがてそのゴート族はローマに反乱を起こす。東ゴート族は東ローマに駆逐されるが、西ゴート族は西ローマを破るに至る。2024/08/28
うた
14
それが多神教であれ一神教であれ、ただ形而上の世界に逃げ込みながらも、世俗の力を使って目の前にあるものを否定し、自己以外を全て滅ぼそうとするところに狂気は生まれる。人類の栄光と悲惨の歴史とはよく言ったもので、テオドシウスの活躍と欠点はその象徴のようにも思えてくる。そして彼の治世が終わりを迎えると同時に、なんとかもっていた帝国は一気に坂を下り始める。話はかわって、中野先生の訳は上手いものだけれど、形容詞に四字熟語が多すぎてやや硬い印象が残る。朱牟田先生がどんな風に訳しているのか、続きが楽しみです。2016/02/21
しんすけ
7
下降する螺旋階段、そんな印象が残る。先代皇帝とは血縁が無い者が新たな皇帝になり、体制健全化が図られる。だがその二・三代目によって体制腐敗化が進む。この繰り返しで質の低下は確実なものになっていく。西ローマ帝国崩壊の要因に、ゲルマン民族やフン族を取り上げれる。が、質的劣化による内部崩壊が最大要因なのではないか。目が覚めたら日本が無くなっていた、なんてことも想像させる読書となった。本巻は全体的に単調な話が多く、ギボンも質が低い犯罪記事の前に途方に暮れている(187頁)。しかし、26章のフン族の話は面白かった。2017/05/20
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