内容説明
ヨーロッパ古代世界に最大の版図をもち、多年隆盛を誇ったローマ帝国はなぜ滅びたのか。この「消えることのない、永遠の問い」に対する不朽の解答―18世紀イギリスの歴史家E・ギボンの名筆になる大歴史書の完訳。五賢帝時代のローマ帝国の版図、軍事力、繁栄ぶり、そして帝国衰亡の兆しとなる愚帝・暴帝コモンドゥス、カラカラ、ドミティアヌス、エラガバルスの登場をつくる。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
31
五賢帝から軍人皇帝時代を経てキリスト教国教化まで。キリスト教を帝国衰退要因の一つとしてみる見方がキリスト教が強い西欧社会において斬新だったようだ。しかし、著者がルネサンスを意識しているというよりも著者自身青年期に至るまで、カトリック、プロテスタント両方に入信しては幻滅したという個人的経緯が大きい。コモドゥスの頽落した話がどうも西側の人は好きなようだ。映画グラディエーターが作られた原初をここに見た。パルティアからササン朝ペルシャまで、ケルト系からゴート族とローマ帝国外の流れについてもしっかり書いてある。2021/10/21
アミアンの和約
25
イギリスの歴史家ギボンによる主著。1巻目は五賢帝時代から3世紀半ばのガリエヌス帝まで。歴史書というより歴史小説に近い。翻訳も堅苦しくなく分量の多さにも関わらずすんなりと読み進められた。2023/03/10
ロビン
19
中野好夫先生訳による、イギリスの歴史家エドワード・ギボンの名著、第1巻。「五賢帝」の一人で帝国の領土を(アウグストゥスの遺言を破って)最大にしたトラヤヌス帝の時代から、血で血を洗う軍人皇帝時代をへて僭帝の乱立時代までを描いている。塩野七生氏の『ローマ人の物語』は著者に宗教的な立場が特になく、また大のカエサル党であったが、ギボンの著述-格調高い名文と思うーからは、18世紀のキリスト教徒であり、議会制民主主義の国の人間という著者の立場が感じられて興味深い。ギボンはカエサル、またティベリウスに対しても点が辛い。2023/08/03
Saiid al-Halawi
9
刊行が二百数十年前の古典的名著。塩婆の全巻読了後で、更に註がページごとに充てられてるので破壊的に読みやすかった。2013/01/10
閑
9
ローマ史の古典中の古典。読む前は理由もなく100年くらい前の本と勝手に思っていたが、属州の説明のところで「現在の神聖ローマ帝国領で~」とあって奥付を見たら初版1776年、アメリカ独立戦争の年、フランス革命はまだ起きていない時代だということにまずビックリ。分量にタジタジになって中身を味わうレベルまで読めていない気がするが、とりあえず10巻まで頑張ってみようと思う。2013/01/04