ちくま学芸文庫<br> 重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄

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ちくま学芸文庫
重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄

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  • サイズ 文庫判/ページ数 381p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480082428
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0110

内容説明

「重力」に似たものから、どうして免れればよいのか。―ただ「愚寵」によって、である。「恩寵は満たすものである。だが、恩寵をむかえ入れる真空のあるところにしかはって行けない」「そのまえに、すべてをもぎ取られることが必要である。何かしら絶望的なことが生じなければならない」。真空状態にまで、すべてをはぎ取られて神を待つ。苛烈な自己無化への志意に貫かれた独自の思索と、自らに妥協をゆるさぬ実践行為で知られる著者が、1940年から42年、大戦下に流浪の地マルセイユで書きとめた断想集。死後、ノート(カイエ)の形で残されていた思索群を、G・ティボンが編集して世に問い、大反響を巻き起こしたヴェイユの処女作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

傘緑

54
「神にためにというのは、正しくない…神は、与格におかれるべきではない…『神に迫られて』(渡辺義愛訳は『神にうながされて』となる。渡辺訳が良いと思う)」冨原眞弓訳、渡辺義愛訳とこの田辺保訳、三者の翻訳を読んだが、それぞれヴェイユから汲み取っているものが異なるという印象。冨原眞弓訳は、痛々しいほど真摯な内面と祈りの告白。田辺保訳は、ヴェイユの日々の肉声や嘆息をともに再現している、それもそのときそのときの息づかいや瞬きの音さえ紙面から感じ取れるほどに近く。三様の諧調、「美とは、偶然と善のとのおりなす諧調である」2017/04/21

nobi

36
「冷血」「心臓を貫かれて」「怒りの葡萄」など非情で残忍なシーンの多い小説が続いた中ヴェイユのそれも「重力と恩寵」というタイトルに惹かれた。でもそこに安らぎを求めようとする目論見は外れたと言っていい。真理にも信仰にも命をかけている迫力と過激さがある。愛とか悪とか抽象的で多義的な言葉からなる思索と信仰の吐露は、例えばアウグスティヌスが書き記した断章に挟まれていても分からないのでは。非現代的で非日常的で、真正で深遠で普遍的。親鸞の絶対他力の境地にも近いのではないか。この書で一年を締め括ることができて幸いだった。2015/12/31

松本直哉

32
生に属することはなべて想像可能である。想像を絶するもの、それが死である。生きている者のだれひとり死を経験していないのだから。死者は、我々生きる者が決して知りえないことを知っている。真理というものがあるとすれば、それは我々の想像をこえた、隔たりの彼方にあるだろう。想像できないものへの畏怖と敬意。死者を弔う理由はそこにある。「真理は死の側にある」欲望も衣服も捨てて、自らをからっぽにして、裸になること。からっぽに耐えること。そこをなにかで満たそうとしないこと。そのとき、光がふりそそぐ。慰めではなく、光が。 2020/10/12

zirou1984

31
凄まじい。彼女がノートに書き綴った箴言の数々を死後編纂して出版された本書は、どれも信仰への確信と悲痛なまでに苦しみを受け入れようとする決意に満ちている。その余りにも高尚なストイックさに最初は距離を感じたが、著者の人生を知って納得がいった。ユダヤ人の家系に生まれ哲学科の教師になるも、病弱で偏頭痛に悩まされる自己を顧みず農場や工場で働き出す。貧民の救済のために革命運動に身を投じ、世界大戦への抗議として行ったハンストで餓死するという生涯。逃れられない心身の痛み、そんな痛みと向き合う時に本書は最高の鎮静剤となる。2013/03/08

hide

22
あらゆる真理には矛盾が含まれる。矛盾だけが現実の姿であり、現実性の基準であり、必然であるのか。悪の中にも善が細かく混じりあっているみたいに、そこから悪だけを消し去ることは難しい。自身の最も深いところに降り立つ為の重力。自身以外のものを求め浮かび上がる為の恩寵。下降と上昇を繰り返し、その中間に留まることの難しさ。重力と恩寵。その狭間には、一人一人の世界がある。世界にはきっと、もっとたくさんの意味があっても良いのだから。2021/04/17

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