内容説明
現実が孕む「もはや意識されないもの」と「まだ意識されないもの」の諸要素を、《モンタージュ》という手法によって再構成する本書は、同時代人ブロッホによる1920年代論の傑作であり、また過激な思考実験でもあった。
目次
塵埃
サラリーマンと気散じ
非同時代性と陶酔
大ブルジョワ階級、即物性とモンタージュ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
6
資本主義は均等には広がらないから、空間上には同時代的・非同時代的なものが並び立つ。非同時代的なものは前時代の残留であるから、近代への抵抗として特殊性が立てこもる要塞を築くための材料を提供する。近代以前からあり、また近代以後にも存続するはずの「伝統」「文化」なるものが作り出され、非歴史的なものとして時間の外に置かれる。そうして合理的な近代社会は、非合理的な神話によって支えられるファシズム国家へと堕していく。右翼から過去を奪還するには、この非同時代的なもののなかから普遍的なユートピアを取り出さないとならない。2018/12/13