ちくま学芸文庫<br> 構造と解釈

ちくま学芸文庫
構造と解釈

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  • サイズ 文庫判/ページ数 370,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480081612
  • NDC分類 701.04
  • Cコード C0110

内容説明

ソシュールの言語学から始まり、レヴィ=ストロースの人類学によって現代思想として定着をみた「構造主義」。一方、ディルタイに源を発し、ハイデッガーとガダマーによって20世紀の中心的な哲学思想となった「解釈学」。さて、「構造主義」はいかなる「解釈学」的前提にもとづいて成り立つ思想であるのか。また、逆に「解釈学」はどのような「構造」を内に秘めて成り立つ哲学なのか。加えて、この二つの哲学思想のどちらがより優れた認識なのか。従来、個別に論じられがちだった、この20世紀の二大潮流の連関を見極め、近代科学的な構造認識の意義と限界を検討する。

目次

「構造と解釈」への問い
構造主義の登場
構造主義における構造
構造分析の実例とその帰結
構造主義への批判
近代科学の背景
近代的知の射程
ラッセル批判
ディルタイと解釈学
ハイデッガーの解釈学的現象学〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

12
「「構造主義」がどのような解釈学的前提にもとづいて成り立つ哲学思想であるのか、また逆に、「解釈学」がどのような「構造」を秘めて成り立つ哲学思想であるのか」を描き出すことを目的とした一冊。構造主義は観察者から独立した無意識的な客観的構造の抽出するもので、それはあくまで「客観的段階」であり、そこに解釈学が接続されなければならない。そしてその逆もまた然り。構造主義は客体性の擁護であるとされ、解釈学と、「客観性/主体性」「非時間性/歴史性」「体系/個体」などの概念において対立するものであるとされる。2022/01/06

フリウリ

9
構造と解釈という2つの概念を軸に20世紀思想を解説。解釈学の最大の問題は「解釈学的循環」(解釈は、その対象を事前に把握することなしに行いえないこと)ですが、この問題に対してハイデッガーは、重要なのは循環を抜け出すことではなく、「循環のうちへと正しく入っていくこと」であり、なぜならこの循環のうちにこそ、「最根源的な認識の積極的可能性」が潜むから、といいます。なるほど『存在と時間』の1つの主題は、世界内存在しつつ自らの存在にかかわる現存在の「存在論的な循環構造」でした。終盤の難解なガダマーの要約も便利です。92023/07/07

左手爆弾

5
構造主義と解釈学の本なのかと思えば、これに加えて分析哲学やハイデガーの話なども出てきて、20世紀の主要思想を包括的に学ぶことができる(あえていえば、フランクフルト学派などは一切出てこない)。もともとが放送大学のテキストなので、複雑さや難解さはなく、リズムよく進んでいく。要約の仕方が絶妙で、きちんと引用箇所も示してあるため、チェックもやりやすい(ただし、邦訳を参照しているものはほとんどない)。ハイデガーを褒めすぎなのはご愛敬としても、20世紀思想のおさらい等には向いている。2015/04/21

4
構造と解釈という題名そのままに、構造主義と解釈主義について、アリストテレスから始まる西欧哲学の思想の変遷から丁寧に説明されている。解釈主義の解説にやや重心が置かれている。カント以降の哲学についての予備知識がないと、引用されている文言の定義が分からないため理解しにくい。一冊に、アリストテレス、カント、ヘーゲル、ハイデガー、ラッセル、ディルタイ、などなど他にも多数の哲学者の思想が登場し、簡潔に説明されようとはしているものの、詰め込みすぎな感じがする。2016/05/29

なかたつ

4
論者の結論としては、「ガダマーさん、すげえ」だけど、他にも、レヴィストロース、リクール、ラッセル、ディルタイ、ハイデガーの基本的な哲学に触れ、解釈学が解釈学に成った変遷を丁寧にえがいている。構造=客体、解釈=主体で、それらは反発するものとしてあるのではなく、循環的に相互作用を及ぼす。テクスト読解をシュライエルマッハー=再現、ヘーゲル=融合と捉え、ガダマーはヘーゲル+ハイデガーの方法を用いる。そして、解釈者の先見は排除するのではなく、むしろそれを用いて、テクストと「地平融合」していくのがガダマーの主張。2013/02/28

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