ちくま学芸文庫<br> 東京 都市の明治

ちくま学芸文庫
東京 都市の明治

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  • サイズ 文庫判/ページ数 277p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480081599
  • NDC分類 523.1
  • Cコード C0152

内容説明

明治以降、近代化がすすむなかで、都市・東京の街並はどのように変貌していったのか。お雇い外国人やエリートの日本人建築家たちがつくる洋風建築ではなく、江戸以来の伝統的な技術を伝承する棟梁・職人たちと市井の人々のエネルギーがつくりだした「伏流」の建築、あるいは和洋折衷の様式に目を向ける。異色の東京論。

目次

序章 都市の街並―近世から近代へ
第1章 爆発する意匠―和洋折衷
第2章 洋風化へのためらい
第3章 洋風意匠の街並へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

27
江戸末期から明治初期にかけて、和洋混合の奇妙な建物が乱立した。一つは西洋的建築技術浸透の遅れがあるが、他にも、和洋折衷な建築への需要、富誇示への価値観の変容のずれがあげられる。今までは、建築家の系譜で語られることの多かった建築史だが、庶民や大工の切り口で考察している本書は画期的であると思う。現存する建築物が少ないことが残念。和風建築の建築技術としては頂点に達していたそう。2021/10/27

ネムル

15
目立ったもん勝ちにしか見えない明治初期の和洋折衷建築、これは西洋の様式を受容しきれない拙さによるものだと思っていた。しかし、初田はこれを技術の拙さでなく、目立ったもん勝ちという庶民の山師的な感覚によるものと洞察する。といっては身も蓋もないが、築地ホテル館の建設中に依頼主(幕府)が潰れ、以後のごだごだを考えるになかなかの説得力もある。明治の終わりには伊東忠太に「百鬼夜行」と表される派手な記号の集積建築が作られる。これらも多く短命に消えたが、いまの表参道をみるに頷く。庶民の息遣いを伝える建築史、面白い。2020/07/14

うえ

5
「街並の大多数の建物が土蔵造りとなったのは、江戸時代からではない。もちろん、江戸時代にもくろかべの店蔵はみられたが、街並を構成する大多数の建物が土蔵造りとなったのは明治14年2月25日に「東京市街ニ於テ、火災ノ延焼ヲ防クヘキ為メ左ノ条項相定候」として、東京府知事と警視総監によって…布達されたことに起因している。ここでは「防火ノ線路」を定め…煉化石造土蔵造の三種類のうちいずれかで改造することを義務づけている。この火災予防事業の計画は明治20年に完了している…そして、大多数の人々は…土蔵造りを選んで建設した」2024/04/16

Ryota Ishikawa

2
東京という都市の明治期を商店建築からみた作品。政治家及び建築家の視点からだけでなく、大工や棟梁及び市井の視点からみた、東京の商店建築の明治期における変遷が語られている。この作品の面白い点は、日本の西洋化の始めにあたる明治において、西洋化を進めたい政治家や建築家と、日本らしさを残したい大工・棟梁や市民の、二者の対立によって明治期の建築は和と洋が混在していく様を、順序立って二者の立場から見ている点である。しかし、取り上げている建築物が現存しておらず、写真も少ないため当時の様子が想像しづらい事が玉に瑕である。2021/05/20

iwasabi47

1
日本の「(西洋式)建築家」が生まれる前に「西洋風」建築した大工の話。観工場の話。2023/08/02

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