内容説明
「この時代のギリシア人たちはどのように哲学的思索をなしたのか?あの時代の彼らにとって哲学とは何であったのか、われわれにとって哲学は何であり得るか、また一般に哲学はわれわれにとって何ほどかのものであり得るであろうか?」初期ギリシア哲学研究を足場にして、ニーチェが独自の思想を表白した理論的草晃「哲学者の書」をはじめ、『悲劇の誕生』と同時期に属する初期の諸遺稿を収める。
目次
1 運命と歴史
2 意志の自由と運命
3 われわれの教養施設の将来について
4 ショーペンハウアー哲学とドイツ文化との関係
5 真理の情熱について
6 哲学者に関する著作のための準備草案
7 「苦境に立つ哲学」をめぐる考察のための諸思想
8 「われら文献学者」をめぐる考察のための諸思想および諸草案
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hikarunoir
7
文献学草稿が要点化され、内容も自己批判で遠ざかりを見せるも、次第に短文化し現今学問や芸術批判からアフォリズムへ変容を見られる非初心者向け書。2021/11/15
roughfractus02
4
文化は真理への意志をどう形成したのか?著者は文献学と哲学の真理への執着を、方法と化した学とその伝授の場としての教育施設に見出す。注意すべきは、哲学内部の認識と存在の対立(ハイデガーのように)でなく、それらに対する解釈の優位が主張される点だ。著者は学ではなく、人間としての文献学者や哲学者の営みを強調する。「哲学者が製作するものは(彼の著作に先立って、何よりもまず)彼の生活である。それこそが彼の芸術作品である。」芸術的営為では全ては解釈となる。ゆえに真理も一つの解釈となる。著者はこの姿勢を「反時代的」と呼ぶ。2017/08/03
∃.狂茶党
3
遺稿集。中断した講演については、不必要な仕掛けを入れたことが、足を引っ張ったのではないかと思う。断片的なメモのスリリングな言葉は、ニーチェにギミックは向いてないと思わせる。訳者による、各種全集から何を取り入れるかの文章が興味深い。 2020/10/06
Kamîyama
1
哲学者とは来るべき天才を準備する者であるという。ところがニーチェの目には殆どの学者たちがそうした存在には見えなかった。ギムナジウム・大学批判、古典ギリシアの意義、芸術と哲学とは、様々な主題について記述するための短い草稿が多く納められており、組みしやすいという意味でニーチェにとりあえず触れるには良い本なのかもしれない。考察は鋭く現代にも通じるようなものでもあるし、古来から言われていたもののニーチェ的展開のようなものもある。個人的には考えるところが多かった。2013/05/19
tamioar
0
哲学者はかくも孤独なり。2016/07/11