内容説明
終身雇用・年功序列を中心とした「日本的経営」とは世界的な企業経営の中にあってどのように考えられるか。日本とイギリスを代表する二大会社、日立とイングリッシュ・エレクトリック社の工場の労使関係、経営組織に関して、従業員の意識から管理機能に至るまで、さまざまな角度から克明に比較研究する。それぞれのシステムの持つ特徴、管理者・労働者の意識の違いなどについて丹念に比較研究した待望の書の文庫化。
目次
第1部 「工場」(4工場の概観;労働者―その構成および、採用・訓練方式;賃金;労働組合〈その成員と組織〉;イギリスの労使関係;日本の労使関係;労使関係の要約;コミュニティとしての企業;権限、機能および身分;2つの雇用システム;いくつかの関連領域)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
19
1979年に出された日立とイギリスのイングリッシュエレクトリックを比較し、日英の工場や労働者の違いを研究した一冊(厳密には日本に関しては大企業としている、著者はこのあたり慎重で、大企業日立と同じ制度を日本の他の中小企業も運用できているとまでは考えていないと書いている)。一番印象的なことは日本は企業ごとで労働組合が形成されてその上に全国組織があるが、イギリスは組合ごとに構造が異なり企業ではなく居住区によって所属組織が異なるので会社が違う人と交流することが多い。2022/01/19
Saiid al-Halawi
3
英国の労使関係は「アラブ-イスラエル」で、日本のそれは「ドイツ-フランス」にそれぞれ似ているとする部分にとても納得。相手の存在の根絶を目指すか、それとも相手の存在を認めつつ共存を図るか、という。2015/05/28