内容説明
人間の無意識の世界から紡ぎだされた象徴的主題とそれを核として形成された神話的なイメージや象徴的表現の分析による心の構造の探究。リビドを広義の人間的エネルギーと捉え、新しい地平を切り開いたユング心理学の記念碑。
目次
2種類の思考
前史
創造者讃歌
蛾の歌
リビドの概念
リビドの変容
英雄の誕生
母と再生の象徴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
12
夢を過剰に深掘りして神秘主義的に解釈したがる傾向を戒めたフロイトからすれば、フロイト以前の水準に逆行してしまった大胆な書物。各人で夢や言葉やイメージに感じる意味が違うという精神分析の考えを否定し、無意識は集合的に共通の根を持つとしたユングは、無意識の中に過去が読み取れるので未来も同じく見えるなどと論じる。あれこれの心的現象の唯一の実在はリビドーだから、神も英雄神話も心理的にはリビドーがそれぞれ具象的な像の形をとって崇拝されたものという扱い。論理の破綻を指摘しようにも、論理で世界は解らないと張られる予防線。2018/06/23
roughfractus02
9
現在の症状の原因を過去に求めるフロイトの分析法は当時の自然科学の因果的説明をモデルとする。著者は、ヒステリー患者には有効なこの方法が、独自の世界体系を語る分裂病(統合失調症)患者には適用できないという。未来や普遍的目標を語る分裂病患者の世界観に対して、著者は構成的方法を採用して、言葉やイメージを意味を持つ記号でなく語り得ない何かを仄めかす象徴と見なし、その構造を元に、対立的な意識と無意識を相補関係として捉え直す。本書は、ある女性の日記を神話学や人類学の知を類比させつつその世界観をネットワーク状に構成する。2021/05/14
gkmond
2
いつか読もうと思ってから十うん年。やっと取りかかったのだけど、なんかちょっとしっくりいかない。2014/09/07
おかか
2
ユングの著書を読んでみる。神話や伝説などがこれでもかこれでもか、というぐらいでてくる。2010/01/22