ちくま新書<br> 生活史の方法―人生を聞いて書く

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ちくま新書
生活史の方法―人生を聞いて書く

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  • サイズ 新書判/ページ数 304p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480077134
  • NDC分類 361.9
  • Cコード C0236

出版社内容情報

地域で、大学で、学校で、家族で、個人で。第一人者による、最良の手引き。

沖縄で30年にわたって聞き取り調査をしてきた著者が、「他者の話を聞く」ことについてまとめた一冊。



「ひとりの人間の、人生の語り」が生活史です。この本は、生活史を聞いて原稿を書き、冊子にまとめて作品とするための手引きとして書かれています。生活史の美しさ・おもしろさから、そのむずかしさ・暴力性まで、これまでの考えをまとめた一冊です。



「この本では、生活史を聞いて書くうえでの、技術的なことを含めたさまざまなことが書かれていますが、本書はいわゆる「マニュアル本」ではありません。……聞き取りをめぐるさまざまなことを書いて、それをきっかけに、他者の話を聞くということについて考えてみたい。この本はそんな本です。」


【目次】

はじめに――生活史を聞いて、書く

作品としての生活史/誰にでもできること/たくさんの生活史/語りを残す



第一章 生活史とは何か

1 生活史とは

生活史からわかること/生活史のおもしろさ/人生、歴史、意味/広がる生活史

2 生活史の事例



第二章 語り手と出会う ―― 調査という「社会関係」

1 どうやって語り手と出会うか

2 トラウマを抱えた人びと、差別され排除された人びと

安易な理解/聞かないと残らない声/語りの搾取

3 構造的な聞きにくさ

調査の現実/社会的つながりの外へ

4 分断そのものを研究する

『地元を生きる』の調査/聞きやすい範囲

5 「聞き取り調査」ということ自体のわかりにくさ

もっとも聞きづらいひと/「普通」の人びとへの調査

6 分断を乗り越える

打越正行という希望/那覇のスナックで/時間をかけて関わる/当事者性とはなにか

7 関係性の網の目の中で

8 キーパーソン、リーダー、活動家

9 語り手と聞き手のジェンダーについて

中立の語りはない/語り手のジェンダー/聞き手のジェンダー/安心して語れる場をつくる



第三章 調査の進め方

1 調査のプロセスに入る

2 聞き取りの依頼とアポ取り

電話でのアポ取り/メールでの依頼/理解のされにくさ

3 インタビューの場所

カラオケボックスとラブホテル/意味をもつ場所

4 手土産

相手に合わせて選ぶ/手土産のもつ意味

5 名刺、同意書、「調査のお願い」

調査倫理/同意の意味

6 録音とメモ、ファイルの管理

カセットテープとがっちゃんこ/レコーダー類/参与観察/録音のタイミング/メモ/音環境/バックアップ

7 謝礼、お礼、聞き取りの後

謝礼とお礼/語り手との関係を続けるべきか

8 ゆっくり休む



第四章 語りの聞き方

1 積極的に受動的になる、あるいはピントを合わせない集中

話を聞くとはどういうことか/言葉の連鎖/積極的に受動的になる/ピントを合わせない集中

2 質問をする/しない

最初の質問/事実関係だけを聞かない/物語は生きている

3 「一般論」と生活史

一般論には一般

内容説明

第一人者による、最良の手引き。地域で、大学で、学校で、家族で、個人で。

目次

第一章 生活史とは何か(生活史とは;生活史の事例)
第二章 語り手と出会う―調査という「社会関係」(どうやって語り手と出会うか;トラウマを抱えた人びと、差別され排除された人びと;構造的な聞きにくさ;「聞き取り調査」ということ自体のわかりにくさ;分断を乗り越える;関係性の網の目の中で;キーパーソン、リーダー、活動家;語り手と聞き手のジェンダーについて)
第三章 調査の進め方(調査のプロセスに入る;聞き取りの依頼とアポ取り;インタビューの場所;手土産;名刺、同意書、「調査のお願い」;録音とメモ、ファイルの管理;謝礼・お礼、聞き取りの後)
第四章 語りの聞き方(積極的に受動的になる、あるいはピントを合わせない集中;質問をする/しない;「一般論」と生活史;差別的表現とどのように向き合うか;ぜんぶは聞けない;聞き手の自己開示)
第五章 聞き手から書き手へ―編集と製本(文字化する;編集する;本人チェック;印刷・製本)

著者等紹介

岸政彦[キシマサヒコ]
1967年生まれ。社会学者。京都大学大学院文学研究科教授。研究テーマは沖縄、生活史、社会調査方法論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

119
歴史は著名な事件や人物を中心に描かれてきたが、社会的には無名な個人の人生も一個の歴史だ。いわば鳥の目から俯瞰した従来の歴史叙述に対し、そこに巻き込まれた蟻の目から見た歴史を伝記的文献として残そうとする試みが生活史といえる。その考えはわかるし社会学的にも有益と思うが、やはり時代を動かす戦争や絶対的権力者の生死、あるいは世を支配する宗教や思想の動向に対し庶民がどう反応し対処したかを知る以上の意味はないのでは。究極にコスパの悪い歴史研究手法について、大変なフィールドワークの労苦を積み重ねる必要性に疑問を感じた。2026/01/05

こばまり

45
生活史を話す予定も聞く予定もないのだが、全編興味が尽きなかった。研究手順を開示したものだが究極、他者に接する際の礼儀に収斂されるのではとも。日頃からこのように相手を尊重して振る舞えば凡その諍いは起きないはずだ。だから読んでいて気持ちよかったのか。2025/12/28

アナクマ

34
個人の人生の聞き取り。「この世界で、声を残す力を持たない人びとの声を残したい」「私たちは、かならず、経験に主観的で個人的な意味を与えます」◉2章_出会い方。著者の経験談に学ぶスタイル。読者はここで〈著者の語りを聞きとる経験〉を積むことになる。「そのとき私がしたことは、私がもともと持っていた社会的つながりの外に出ることだったのです」。(p.102)私たちの聞き取りは、私たちの手が届く範囲でおこなわれることには、自覚的である必要があります。私たちは、現実的に到達可能な範囲のことにしか興味を抱かないものです。2025/12/25

タカナとダイアローグ

17
生活史の聞き取りは「積極的に受動的になる」ことが重要。話を要点化せず、構造化せず、「ピントを合わせない集中」をして、「他者の合理性」を知る方法論とおもしろさ。この研究が直ちに社会問題を解決するかというとそうではないが、質的な研究でしか残せない語りたち。つまらん人生などないのだと励まされるし、知り合うことのない他者に思いを馳せることもできる。 とくに面白かったのは、手土産の選び方やアポイントの取り方。聞き取りの前から始まっている仕事。あと、同意の取り方や本人確認についてなど、丁寧な仕事が必要で参考になる。2025/12/27

水色系

17
楽しみにしてた岸政彦さんの新書!ご自身が取り組んできた生活史の聞き取りの方法、考え方について一冊にまとめたのが本書。他者に対して誠実であるからこそ語りが生まれるのだろう。人ひとりの人生の語りを受け止めようとするとその熱量は膨大というのでは足りないほど膨大で、時間をとって一気に集中して聞こうとすると、充実は相当なもので、同時に負荷も半端ではないだろう。かっこいい。岸さんはほんとうにかっこいい。2025/11/22

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