出版社内容情報
意見のすれ違いの根底には「倫理問題」がある――。
「はい論破」ではなく、協力的で生産的な議論を。
わかり合えない人と話し合うための討論の技法!
物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。
【目次】
はしがき
序章 哲学思考のその先へ
SS0-1 唯一無二の食事1/クリティカル・シンキングとは/協力的クリティカル・シンキング/倫理的クリティカル・シンキング/倫理的思考における文脈主義/SS0-2 唯一無二の食事2/「そもそも倫理とは何か」を考える必要がでてくるのはどういうときか/本書の構成
ブックガイド
第一章 倫理を外から眺める
SS1-1 エンケラドス生命たちの自衛1/自然主義的視点/モラル・サイコロジー/暴走路面電車という思考実験/倫理的判断ははらわたの感覚で決まっている/倫理は進化のプロセスで形成された?/道徳は簡単には進化に還元できない/運命共同体が生む道徳/SS1-2 エンケラドス生命たちの自衛2
ブックガイド
第二章 複視的に世界を眺める方法――中の人にしか見えない「社会」とは?
SS2-1 見えるようになったもの1/拡張現実とは/「社会的な事実」とは/なぜ一万円札には価値があるか―制度的な規則と制度的事実/やりとりの中から浮かび上がる「社会」/社会的な存在としての「自己」/一貫性論争/コラム 平野啓一郎の分人主義/拡張現実としての「社会的事実」/「社会メガネ」は気の持ちよう?/一様ではない「社会メガネ」/二重写しに世界を見る/SS2-2 見えるようになったもの2/社会の存在論
ブックガイド
第三章 倫理とは何か――自由意志と倫理はどのように「見える」ようになるか
1 道徳的主体としての自分
SS3-1 丘に穴掘る部族の覚醒1/倫理メガネをかけて世界を眺める/「自由意志メガネ」のむこうに見える道徳的主体/自由意志は存在しないのか/道徳判断と行為はどうつながるか
2 善悪の客観性はどこからくるのか
SS3-2 丘に穴掘る部族の覚醒2/「べき」には一貫性が求められる/客観主義と実在論/「客観性」や「実在性」は異星人にも見えるのか/「道徳的理由」に彩られた世界/コラム 非認知主義に対するアドバンテージ(ガチな人向けの補足)/人々はどのくらい道徳を客観的に捉えているか
3 善悪はフィクションか
「倫理メガネ」と錯誤理論/メガネをかける=感受性を研ぎ澄ます/SS3-3 丘に穴掘る部族の覚醒③/倫理とは半強制参加の拡張現実だ/自分のメガネは見えない/「倫理メガネ」の多層性と多様性
ブックガイド
第四章 倫理的思考の四つのものさし――善悪をどう測るか
1 倫理的思考のものさし
SS4-1 旧友の依頼1/規範倫理学の考え方/四つのものさし
内容説明
物事の善し悪しを判断するのは難しい。社会のあるべき姿や幸せの形も人それぞれ。ならば意見のすれ違う人と対話するのは不毛なのだろうか。それでも私たちは他者と共に社会をつくるため、答えの出ない問題について話し合わなければいけないことがある。そんなとき、小手先の論理で相手を説き伏せようとする前に、対立の根本に遡って「そもそも倫理とは何か」と考えてみることがとても役に立つ。「価値観の壁」を越え、生産的に議論するためのクリティカル・ディスカッション入門。
目次
序章 哲学思考のその先へ
第一章 倫理を外から眺める
第二章 複視的に世界を眺める方法―中の人にしか見えない「社会」とは?
第三章 倫理とは何か―自由意志と倫理はどのように「見える」ようになるか
第四章 倫理的思考の四つのものさし―善悪をどう測るか
第五章 なぜ意見が食い違うのか―倫理問題の難しさ
第六章 互いの論証をチェックする―協力的に討論をするための技法1
第七章 論破ではなく協力―協力的に討論をするための技法2
第八章 批判的でいるのはいつでもよいことか―無理せずクリティカルに生きる
著者等紹介
伊勢田哲治[イセダテツジ]
1968年福岡県生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。メリーランド大学よりPh.D.(Philosophy)取得。専門は科学哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。