出版社内容情報
何が彼らを無謀なゲリラ戦へと駆り立てたのか。
激しい内ゲバ、市民を巻き込むテロ、そして反天皇制闘争へ。
六〇年安保闘争、六〇年代末の全共闘運動、七〇年安保、七〇年代から八〇年代の成田空港反対の三里塚闘争では、反天皇制が主要なテーマになることはなかった。ところが昭和から平成の天皇代替わりに、新左翼の各セクトは封印を解き、反天皇制を最大のテーマに掲げて、炎と爆弾によるゲリラ闘争を展開した。内ゲバと市民を巻き込むテロに突き進んだ彼らの無謀な作戦、それに対する警備・公安警察。本書は暴力闘争の徒花を、現代史の一側面としてまとめる試みである。
【目次】
第一章 全学連と全共闘の叛乱
第二章 暴力の嵐
第三章 〈狼〉の自己否定と反日
第四章 三里塚からの出撃
第五章 攻防――九〇年決戦前半期
第六章 怒涛――九〇年決戦後半期
第七章 退潮
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
129
連合赤軍事件以来の新左翼の歴史を辿ると、理想主義者であるのは悪なのか自問してしまう。理想を信じるあまり純粋無垢な自分だけが正しいとの視野狭窄に陥り、暴力と恐怖で実現しようと暴走するのだ。陰惨な内ゲバ事件や成田闘争の爆弾ゲリラを経て、天皇や皇族暗殺を謀るに至る生々しい人の業の連続にめまいがする。日本のため大衆のために闘っていると自負しながら、いつの間にか殺人が当たり前の世界でしか生きられなくなるのだから。旧統一教会やオウムなどカルト宗教も根は同じで、人の心の弱さ愚かさが存在する限り永遠に繰り返されるだろう。2025/11/21
HANA
46
60~90年代までの新左翼の通史。なのであるが他の類書と違うのは新左翼が如何に天皇を標的にしていったかという部分。基本新左翼を描いたものとしては内ゲバとか政府との対峙といった物が中心だったので、この切り口は新鮮。とはいえその部分に触れているのは大体80年代だけなので、ちょっと食い足りないかな。平成に年号が変わった当時は自分はまだ幼かったため、あの空気の裏でそんな事が起きていたとは初めて教えられた。著者が新聞記者出身で当時実際に取材にあたっていたため、臨場感と時代の空気がひしひしと身に染みる一冊でもある。2025/11/25
読書家さん#U7eSLx
2
過激化した学生運動に関わった若者たち、カルト集団(オウム)に入信した若者たち、いずれもその行動は理解できないが、狂信的であるということ以外にも何かしらの共通点があるのではないかと思ってきた。この本を読むと、共通するのは「地に足がついていない」ということ、ひいては、歴史をきちんと学んでいないということではないかと感じた。磯田道史先生の「歴史は靴である」という言葉を思い出した。2025/11/12
takao
0
ふむ2025/11/27




